2025年に開かれる大阪・関西万博。そこから国際的な交流の新たな流れが生まれ、サウジアラビア館で展示されたサンゴ構造物が関西大学に寄贈される運びとなりました。この寄贈は、海洋環境の再生をテーマにしたもので、サンゴに関する深い知識と国際的な協力が集約されています。
サンゴ構造物とその意義
サウジアラビア館で製作された約100体の3Dプリントサンゴ構造物は、紅海のサンゴ礁再生を象徴しています。これらは、サンゴ由来の素材を用いて、実際のサンゴの骨格に忠実に再現されたもので、現実には生命を宿していませんが、海洋環境の未来を示唆する重要な役割を果たします。寄贈セレモニーは、2025年10月15日(水)に関西大学千里山キャンパスで行われる予定です。これにより、関西大学はサンゴ構造物の製作や量産を行う環境が整備され、研究の新たな可能性が広がります。
万博を契機とした国際的なつながり
この取り組みは、2025年の万博での出展を通じて芽生えたもので、関西大学と企業が連携した「関大リボーンチャレンジ」が直接のきっかけとなりました。このプロジェクトで搭載された株式会社イノカの「環境移送技術®」は、自然の生態系を再現することに成功し、サウジアラビア館の関係者もその実績を視察する中で、双方の目標が一致し協力が実現しました。国を超えた研究活動が始まり、海洋再生に対する関心が高まっています。
国際共同研究のスタート
寄贈されたサンゴ構造物は、上田正人教授が開発した「サンゴポリープ定着技術」を用いて育成される計画です。この共同研究には、株式会社イノカをはじめ、サウジアラビアの大学や研究機関が参画します。サンゴの骨格に新たな命を吹き込み、修復を進めるこの活動は、持続可能な海洋環境の実現に向けて新たなステージを提案しています。ここでの技術と研究は、国際的な協力が生み出す新しい価値を示すものです。
セレモニーの詳細
サウジアラビア館からの3Dプリンター装置の受け渡しセレモニーは、2025年10月15日(水)13:00から行われ、内容としては寄贈式の他、共同研究に関する説明や上田研究室の見学などが計画されています。この機会を通じて、海洋再生に向けた新たな視点や方法を学ぶことができるチャンスです。
この万博を起点とした国際的な協力の成果を未来につなげることが期待されており、関西大学における新たな研究が実を結び、2030年のサウジアラビアのリヤド万博に向けて希望のバトンが渡されることでしょう。