広島大学が挑む振動センシング技術の革新
広島大学は、科学技術振興機構(JST)による2024年度PSI GAPファンドの採択を受け、革新的な振動センシング技術の開発に取り組んでいます。このプロジェクトの責任者を務めるのは、広島大学先進理工系科学研究科の島﨑航平助教です。彼が提案した課題名は「エッジ高速カメラを用いた広域振動エリアセンシング」です。この取り組みは、従来の振動計測方法を超え、リアルタイムで振動分布を可視化する新技術の開発を目指します。
振動測定技術の進化
従来の振動計測は、特定の位置でのスポット計測が主流でした。しかし、島﨑助教の提案する技術は、高速ビジョンを駆使しているため、無数の点で同時に振動を計測し、その結果を即座に視覚化することができます。この革新的手法により、特に保守点検が困難な高所や高温の場所での振動の把握が可能になります。この進展により、維持管理の効率が大幅に向上することが期待されています。
事業化への挑戦
島﨑助教のプロジェクトは、株式会社みらい創造インベストメンツの支援のもと、事業化へと向かいます。みらい創造インベストメンツは、研究開発型スタートアップの成長を支援するベンチャーキャピタルであり、このプログラムの成功に向けて伴走します。企業としての事業化の推進が期待されるこのプロジェクトによって、大学発の技術が市場で実用化される道筋が形成されるのです。
PSI GAPファンドプログラムの意義
PSI GAPファンドプログラムは、中国・四国地域の大学の革新的な研究シーズを、実際の市場へとつなげる重要な役割を果たしています。このプログラムでは、研究者や学生が持つ先進技術とビジネスとのギャップを埋めるための資金提供やサポートが行われています。具体的には、アクセラレーションプログラムの提供、起業に向けた課題の解決支援など、多岐にわたるサポート体制が整えられています。
経済的なインパクトの可能性
今回の技術が成功を収めれば、振動計測の現場は広く変革されるでしょう。特に、工業分野や建設業など、振動管理が重要な領域においては、効率的な管理が可能となり、作業の安全性も向上します。これは社会全体の生産性向上にも寄与する可能性があります。
みらい創造インベストメンツの役割
みらい創造インベストメンツは、2014年に設立された独立系ベンチャーキャピタルで、数多くの研究開発型スタートアップの支援を行なっています。また、東京工業大学との連携も進めており、研究を社会に実装するという使命のもと、積極的な投資を続けています。卒業生が経営者として活躍できるように、人材育成にも力を入れています。
まとめ
広島大学の島﨑航平助教が率いるプロジェクトは、PSI GAPファンドプログラムによって、次世代の振動センシング技術の実現に向けて進んでいます。この技術は、保全対応の困難な分野における新風を吹き込み、実用化への道を確かなものにするでしょう。今後の展開が注目される中で、広島大学とみらい創造インベストメンツの連携による新たな可能性の扉が開かれようとしています。
【関連URL】
PSI GAPファンドプログラム ステップ2 採択チーム一覧
【みらい創造インベストメンツ WEBサイト】
https://miraisozo.co.jp