植物由来のコラーゲン
2025-07-07 10:45:01

千代田化工建設が開発した植物由来のヒトコラーゲン生産技術の真価とは

千代田化工建設が開発した植物由来のヒトコラーゲン生産技術の真価とは



千代田化工建設は、植物を用いた有用物質の生産に関する新たな基盤技術を実現しました。この取り組みは、NEDOによる「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」というプロジェクトの一部で、世界初となるヒトⅡ型コラーゲンの生産を目指しています。これは、ワクチンや医薬品、再生医療製品、さらには化粧品や機能性食品など、さまざまな領域での利用が期待されています。

植物を用いる意義


バイオものづくりは、植物や微生物を用いた製品の生産を目指す技術で、従来の化学プロセスよりも省エネルギーであり、環境にも優しいとされています。しかし、バイオ製品は生産効率や物性において従来製品に劣ることが課題となっていました。特に、分子量が非常に大きいタンパク質の生産は難易度が高く、これを解決する手段として植物の利用が注目されています。

今回のプロジェクトでは、千代田化工建設が、株式会社ニッピ、産業技術総合研究所と大阪大学と連携し、ヒトⅡ型コラーゲンをモデルとした技術開発を進めました。通常、このコラーゲンは動物由来でありながら、植物を活用することでアニマルフリーな方法での生産が実現されたのです。

開発の成果


千代田化工建設が構築した実証設備により、植物を用いたヒトⅡ型コラーゲンの大規模な生産が可能となります。この技術では、植物が生成したコラーゲンの抽出、精製、分析を行うプロセスも確立されました。また、植物体の重量で数グラムから数十キログラム規模までの生産が対応可能となり、その応用範囲は広がっています。

特に注目すべきは、遺伝子組み換え技術を用いたヒトⅡ型コラーゲンの生産です。これは動物由来製品に非常に近い性質を保ちながら、植物から生成できる新しい選択肢を提供します。

植物バイオファウンドリの運営


今回の実証設備は、日本国内で初めての植物によるバイオものづくり分野の実証基盤である「植物バイオファウンドリ」として運営されます。このファウンドリは、さまざまな機関や企業に対し、植物を用いた物質生産の研究開発を支援し、円滑な社会実装に貢献することを目指します。具体的なサービス内容は、各機関からの試験受託、プロセス開発、スケールアップ検討など、多岐にわたります。

環境への影響と今後の展望


この開発において得られた知見を生かし、今後もさらなるプロセス開発や有用物質製品のサンプル製造を行っていく方針です。また、NEDOの支援を受けたバイオ由来製品の社会実装が加速することで、日本のバイオエコノミーを活性化し、温室効果ガスの排出量削減にも寄与することが期待されています。

このように植物を活用した新しい技術は、今後の持続可能な社会の実現に向け、大きな影響をもたらす可能性を秘めています。千代田化工建設の挑戦は、私たちの未来を形作る大きな一歩となるでしょう。


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会社情報

会社名
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
住所
神奈川県川崎市幸区大宮町1310番ミューザ川崎セントラルタワー
電話番号
044-520-5207

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