岸政彦と柴崎友香の愛に満ちた大阪描写
このたび、社会学者の岸政彦さんと作家の柴崎友香さんが共著したエッセイ『大阪』が、第12回「大阪ほんま本大賞」の特別賞を受賞しました。この賞は、関西地域の書店員や販売会社社員が協力し、大阪にまつわる本を広め、得られた利益で子どもたちに本を寄贈する活動の一環として設立されたものです。
『大阪』は、1987年に大阪に移り住んだ岸さんと、2005年に故郷を離れた柴崎さんの視点から、大阪という街の変遷と人々の息遣いを描いています。このエッセイは、単なる観光ガイドブックとは異なり、彼らの愛情深い視線で捉えた大阪のリアルが反映されています。
受賞と背景
この作品が特別賞に選ばれたことは、岸さんと柴崎さんの大阪への深い愛情が多くの人々に伝わった証といえるでしょう。岸さんは、1987年にこの街との出会いを果たし、以来ずっと大阪に根ざして生活してきました。追憶の中で語る大阪は、個性的な書店や文化的なイベントが多数存在する活気に満ちた街であり、柴崎さんもその魅力を十分に享受してきたことがわかります。
ただ、二人の目には、近年の都市の変容が映っています。柴崎さんが描く「貧しくなる前の大阪」とは、小劇場やミニシアターが多数存在し、アートや演劇、お笑いがまさに日常的に行われていた時代。それが近代化の名の下に、商業施設やチェーン店のみが目立つ風景に変わってしまったと言いますが、それでもなお、「大阪」を愛する気持ちは変わらないと二人は語ります。
書籍情報とイベント
『大阪』は312ページのボリュームで、文庫版として販売されており、2024年4月4日に発売予定です。また、岸さんと柴崎さんのトークイベントが2024年11月17日に開催される予定で、柴崎さんはオンラインで参加するとのこと。この機会に、ぜひ参加して彼らの大阪観を直接聞いてみてください。
本書は、特に大阪を愛する人々や関西出身の方には心に響く内容になっており、街の魅力を再確認する良い機会です。大阪という街の多様な側面を共感できるこのエッセイは、ぜひ一読の価値があります!