I-PEXの革新技術
2025-10-31 11:40:45
I-PEXが開発した次世代バッテリー用集電体が期待される理由
I-PEXの新たな挑戦
I-PEX株式会社は、次世代リチウムイオンバッテリー向けに革新的な技術を開発しました。それが「三次元不織布集電体」です。この集電体は、シリコン系の活物質の密着性や導電性を改善することによって、バッテリーの性能向上に寄与することを目指しています。
この技術が生まれた背景には、現在のリチウムイオンバッテリーの限界があります。特に注目されているのは、シリコン系活物質がもたらす高い理論容量です。シリコンは黒鉛系活物質の10倍以上の容量を持つため、その利用が進められています。しかし、シリコンは充放電時に約4倍の体積変化をするため、通常使用される銅箔の集電体では、活物質が膨張収縮し、剥離する問題が発生します。この課題がシリコンの利用を阻む要因となっているのです。
そこでI-PEXは、これまでに培った表面処理技術を活用し、不織布に銅やアルミニウムのメタライズ処理を施し、立体的で柔軟な構造を持つ「三次元不織布集電体」を開発しました。この構造により、シリコン系活物質をしっかりと保持し、剥離を抑制することが可能となります。
画期的な特長
「三次元不織布集電体」は以下の特長を有しています。まず、不織布の複雑な形状が活物質をしっかりとホールドし、充放電時の体積変化による剥離を防ぎます。さらに、メタライズ加工が施された不織布は、銅箔に匹敵する高い導電性を備えています。また、全体に導電パスを形成し、活物質の利用率を向上させる役割も果たします。これにより、軽量化された集電体が実現します。
三次元不織布集電体の開発におけるサイクル試験では、65%以上のシリコンを含有した負極タイプのリチウムイオンバッテリーが試作され、300サイクルの充放電を経た結果、優れたサイクル性が確認されました。他の集電体との比較においても、性能の向上が見られ、今後のバッテリー技術の発展に寄与することが期待されます。
未来への繋がり
この技術は、2025年11月18日から20日に掛けて、愛知県のウインクあいちで開催される「第66回電池討論会」で展示される予定です。I-PEXとしては、新たなエネルギーソリューションを模索し、リチウムイオンバッテリーのリユースに関する取り組みも進めています。
同社の「RENERATH」は、電気自動車用リチウムイオンバッテリーをリユースした蓄電池システムであり、持続可能なエネルギー供給を目指します。次世代バッテリーの開発を通じて、スマートシティや持続的な社会の実現に寄与する取り組みが続けられています。
企業情報
I-PEXの歴史は1963年に始まり、以来高度な技術力をもって多様な分野で革新を続けています。「コネクタ」や「製造受託」など多岐にわたる事業分野において、新たな価値の創造を目指しています。今後もI-PEXは、次代の技術を推進し、デジタル社会の発展に寄与することを目指します。
会社情報
- 会社名
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I-PEX株式会社
- 住所
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