MPower Partnersが手掛ける新たな地域交通サービス
MPower Partnersが新たに出資したのは、タクシー・ライドシェア事業を展開するnewmo。近年、地域交通の台数不足が問題視されている中、newmoはこの状況を打破するための施策を講じています。特に法人タクシーの車両数は年々減少し、2023年3月には約17万台まで落ち込んでいるという深刻な状態です。
この減少の背後には、中小零細企業の厳しい経営環境があります。コロナ禍の影響を受けた運転手不足や燃油費の高騰が響き、タクシー事業者の倒産は今年に入っても増加傾向にあります。2023年の倒産件数は33社と過去10年で最も多く、特に車両数が30両以下の中小企業が多くを占めています。また、法人タクシー運転手の高齢化も進んでおり、平均年齢は59.7歳に達しています。このままでは地域交通を支える労働人口がさらに減少する恐れがあります。
newmoの戦略
こうした現状を受け、newmoが掲げるミッションは「移動で地域をカラフルに」です。2024年1月に設立された同社は、大阪域内でのタクシー会社の経営権を取得し、軽井沢、名古屋、沖縄でも新たに会社を立ち上げています。現在、グループとして600台以上のタクシーと1,000人以上の従業員を抱えており、観光地へのアクセス改善だけでなく、運転手の生活水準向上や新卒者の採用拡大にも取り組んでいます。
MPower Partnersは、newmoの「利用者視点に立ったサステナブルな地域交通」のビジョンに強く共感し、今回の投資を行いました。これにより、タクシー車両数の増加に伴う環境負荷や地域コミュニティとの連携などのESG施策もサポートし、ライドシェア事業の戦略的支援を通じてnewmoの成長を応援します。
企業の背景
newmo株式会社の代表取締役である青柳直樹氏は、「地域交通の未来を切り開くためには、まずは運転手の働く環境をより良くする必要がある」と説いています。これに基づき、運転手の待遇改善やデジタル技術を活用した効率的な経営管理、さらにはESGへの取り組みを強化する考えです。
一方、MPower Partnersは、ESGを重視したグローバル・ベンチャー・キャピタル・ファンドであり、スタートアップが社会的課題を解決する力を高めるための支援を行っています。彼らの目標は、日本のベンチャー生態系をさらにグローバルで多様なものに進化させ、多くのイノベーションを生み出すことです。
未来への期待
今後、MPower Partnersとnewmoの連携から生まれる地域交通の新しい形が、どのように私たちの生活を変えていくのか注目されます。最適な移動手段が提供されることで、地域の活性化や運転手の生活水準向上が期待され、持続可能な地域社会の実現に寄与するでしょう。タクシー業界の新たなスタンダードを目指すnewmoの成長に、要注目です。