最近、咀嚼能力を測るための画期的な研究成果が発表されました。株式会社ジーシーと株式会社明治が共同で開発した咀嚼プロセスシミュレータ「ORAL-MAPS」を使用し、咀嚼能力検査用グミゼリー「グルコラム」の効果を詳細に分析した結果です。この研究は、2024年に開催される「日本老年歯科医学会第35回学術大会」で紹介される予定です。
研究の背景
咀嚼能力は健康の維持において非常に重要です。従来、グミゼリーは咀嚼機能の評価に使われてきましたが、その咀嚼効率には食品の物性が大きく影響します。そこで、研究者たちは「グルコラム」を用いて、咀嚼効率に影響を与える多様な要因を解析しました。
研究の目的
本研究の主要な目標は、ORAL-MAPSを用いてグミゼリーの物性と咀嚼効率の関連を明らかにすることです。また、咀嚼過程を追跡し、口腔機能との関係性を探ることを目指しています。この研究から、咀嚼能力検査の精度を向上させるための基礎データも得られることが期待されています。
研究成果
ORAL-MAPSを利用し、グミゼリーの物性が咀嚼効率に与える影響を分析しました。多くの試料を使い、圧縮力の条件を変えて咀嚼効率を評価しました。研究結果では、やわらかい物性のグミゼリーでは圧縮力が効きやすく、逆にかたい物性のものでは人工唾液の影響も目立つことが示されました。
9つの異なる条件でグミゼリーが圧縮された際の粒子形状の変化が観察されました。弱い圧縮力の場合、人工唾液の添加速度が高いと粒子が小さくなることが分かり、逆に添加速度が少ないと圧縮力の影響を受けて粒子が小さくなる様子も観察されました。
これらの結果から、咀嚼能力を検査する際、物性をより深く理解することが咀嚼能力の精度向上につながることが確認されました。
研究の活用
この研究成果は、食品業界や健康関連商品に広く応用が可能です。グミゼリーの物性を理解することで、咀嚼能力を効果的に測定する技術の向上が期待されます。さらに、咀嚼機能の分析は、より良い健康管理や商品の改善に寄与することが期待されます。また、今後はこれらの知見を生かして、口腔機能関連の製品開発にも取り組んでいく予定です。これにより、咀嚼能力を評価する新たな手段やトレーニング方法の開発が進むこととなるでしょう。
この研究がもたらす「グルコラム」の可能性は、単なるグミゼリーに留まらず、私たちの健康管理に新たな光をもたらすかもしれません。今後の展開が非常に楽しみです。