北大発スタートアップHILOの革新技術
北海道大学医学部発のスタートアップ、HILO株式会社が慢性骨髄性白血病(CML)の治療に革新をもたらす光診断薬『Pickles』を開発しました。この新たな技術は、患者個々の治療反応を測定し、それに基づく最適な治療法を導入することを目指しています。
様々な課題を抱えるCML治療
近年、CMLに対する標準治療として分子標的薬(TKI)が広く用いられていますが、患者によっては効果が異なることがあり、また長期的な治療には高額な費用がかかることもあります。これにより、経済的な負担が育まれ、精神的なストレスにもつながる現実があります。このため、HILOは患者に対して負担を軽減し、より効果的な治療を提供する方法を模索してきました。
『光診断薬Pickles』のメカニズム
HILOの光診断薬『Pickles』は、北海道大学の大場教授が発明した画期的な技術です。この薬は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)という物理化学現象を用いており、がんの原因となるBCR-ABLタンパク質の活性を特定することができます。患者から取得した細胞にPicklesを一定の方法で導入し、TKIを加えることで、ひとつの細胞単位で薬剤の感受性を測定し、効果の有無を判断できるのです。
具体的には、PKの効果が現れた場合、それに応じて細胞の色が変わります。青色に変われば薬が有効、黄色に変わった場合は無効を示すのです。このプロセスは、治療の早期判断を促し、治療成績の向上を期待させます。
今後の展望と資金調達
HILOは、光診断薬の薬事承認を目指しており、そのための基礎的な試験を進めています。この取組により、CML患者の治療に革命をもたらすことを狙います。また、がんの他の種類にも応用可能な開発も視野に入れており、治療技術の拡充を目指しています。
一方、DGインキュベーションからの出資を受けることで、HILOの事業展開が加速することが期待されます。出資担当の佐々木氏は、HILOの事業の可能性を高く評価し、今後も支援を行っていく意向を示しています。
HILOの企業理念
HILOは「イメージング技術によって、患者それぞれの未来に光を当て、安心して治療に挑むことができる社会を目指す」という理念のもと、2021年8月に設立されました。患者一人ひとりに特化した治療を実現するため、今後も努力を重ねていきます。
HILOの公式ウェブサイトでは今後の動向や新たな情報を確認できます。
HILO株式会社公式サイト
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