株式会社FLOSFIAの最新アプローチ
株式会社FLOSFIA(フロスフィア)は、京都大学発の革新的技術を背景に酸化ガリウム(Ga₂O₃)半導体に注力しています。その中で、最新の量産計画や技術開発が進められており、業界に新たな地平を開くことが期待されています。
量産計画の見直し
FLOSFIAは、初期製品として600V・10Aのショットキーバリアダイオード(SBD)のサンプルを提供してきました。しかし、2024年中の量産開始を目指していた計画について、見直しを行いました。これは、すべての信頼性評価を安定的にクリアするためには、さらなる時間が必要と判断したためです。
特に、製品の一部において検出された信頼性不良の問題に取り組んでおり、これはα-Ga₂O₃表面の加工プロセスに関連していると分析されています。
技術開発の進展
量産計画の見直しと同時に、FLOSFIAの技術開発は確実に進行中です。特に注目すべきは、新規P型半導体の酸化イリジウムガリウム(IrGa)を使用したジャンクションバリアショットキー(JBS)構造ダイオードの試作成功です。これは、従来のSBDに比べて立ち上がり電圧が1.4Vから0.9Vへと大幅に改善され、大きな効率化が期待されています。
また、トレンチゲート型MOSFETのノーマリーオフ動作の実現も、FLOSFIAの技術的なハイライトの一つです。これにより、製品化に向けた道が一層開かれました。
ウェハサイズの拡大と高耐圧・大電流デバイス開発
最新の技術進展として、α-Ga₂O₃ウェハの拡大にも取り組んでいます。4インチサイズのエピ成膜技術や、3インチサイズまでのウェハ製造技術の確立が進んでおり、今後のコスト削減と生産性向上に寄与する見込みです。また、耐圧を600Vから1200V、1700Vへと拡大し、電流も10Aから数百Aクラスまでの製品ラインナップを充実させる計画も進行中です。
量産パートナーシップの構築
FLOSFIAは、新たな技術開発を基に量産体制の確立に向けて動いています。知的財産のライセンス提供やエピタキシャルウェハの供給を通じて、国内外の企業との協力関係を強化する意向を示しています。
業界リーディングカンパニーを目指して
FLOSFIAは、Ga₂O₃半導体デバイスの革新的な可能性を信じながら、業界内でのリーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指しています。新たなパートナーシップを通じて、高性能・高信頼性を備えたデバイスの量産化を実現し、エネルギー効率や製造プロセスの改善を通じて「半導体エコロジー®」の実現に向けて歩みを進めていく考えです。
研究の謝辞
この研究成果は、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度や、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受けて実施されています。
FLOSFIAについて
株式会社FLOSFIAは、京都市西京区に本社を置く、パワー半導体デバイスの研究・製造・販売を手掛ける企業です。設立は2011年で、2023年2月時点での資本金は42億850万円です。公式ウェブサイトは
こちら からアクセスできます。FLOSFIAの特徴的な事業としては、酸化ガリウムの普及を目指しており、独自の技術を通じて環境負荷の低減を図っています。