希少がん患者を支える新たなメタバース体験
岡山大学病院が新たな取り組みとして、希少がん患者の孤独感を解消するために、国内最大級のメタバースプラットフォーム『cluster』との連携を始めました。このプロジェクトは、特に小児やAYA(アドレッセントおよびヤングアダルト)世代の患者を対象としており、彼らが同じ疾患を持つ仲間と交流できる新しい場を提供します。
メタバースで患者同士の交流を実現
この試みでは、メタバースを活用し、患者同士が遠隔で安全に話し合う場を設けています。希少な疾病に悩む子供たちや若者たちにとって、同じ病気を持つ仲間との対話は非常に貴重です。特に、入院中の身体的な制約から解放されることで、彼らが心の交流を深められる機会が生まれます。
メタバース内でのやりとりは、従来の掲示板やメッセージアプリとは異なり、アバターを通じてリアルタイムで行われます。このため、実際に顔を合わせているかのような感覚を味わえ、匿名性もあるため、特に繊細なメンタル状態を抱える若年層にとっても会話が進みやすい特徴があります。
希少がん患者への支援
国内には年間約2万人の小児・AYA世代のがん患者がいますが、特に原発性悪性骨腫瘍の患者はその中でも希少です。例えば、骨肉腫の発生頻度は10万人に対してわずか0.15人といわれています。このように発生頻度が極めて低い疾患に取り組む中で、長谷井准教授は、患者同士が交流することがQOLの向上につながると考え、このプロジェクトの立ち上げに至りました。
患者のメッセージとエピソード
長谷井准教授自身も、医療現場での日々の観察を通じて、メタバースの有効性を強く信じています。患者が抱える不安や孤独感を軽減するための新しい研究開発の試みが始まりました。実際に、複数の施設から参加した患者同士がメタバース内での交流を通じて、これまで味わえなかった喜びを分かち合うことができるようになっています。
ある患者の体験談では、メタバースを介して初めて笑顔になれたとのこと。このような心温まるエピソードが続々と生まれているのも、この取り組みの大きな成果です。また、岡山大学病院では、メタバースを利用した『七夕体験』など、患者が自宅や病室から自由に参加できるイベントも行われています。
未来へ向けた展望
今後、クラスター社が展開するメタバースプラットフォームは、医療分野だけでなく、さまざまな場面で活用されることでしょう。岡山大学病院はこの活動を通じ、メタバースの可能性を広げ、より多くの患者に希望を届けることを目指しています。
この新たな試みが、希少がんを抱える患者やその家族にとって、支え合う場となり、孤独感の解消に寄与することが期待されています。今後の展開にも注目が集まっています。