メタバース経験者が語る未来の可能性とその影響
博報堂行動デザイン研究所は最近、メタバースに関する興味深い調査を実施しました。この調査は、メタバースを経験した人々がどのような情報行動や欲求を持っているのかを明らかにすることを目的としています。対象者には15歳から69歳のスマートフォン保有者が含まれ、実際にメタバースを利用した経験のある99名に対し、詳細な定量調査が行われました。
メタバースの可能性とは?
調査の結果、メタバース経験者の多くは、この空間が自己や社会の新たな可能性を拓くものと感じていました。未だ技術が発展途上にある領域もある一方で、「未知の発見」や「便利な生活」の実現を期待していることがわかります。特に、メタバースが創造する新たな職業の誕生や医療サービスの向上に関しては、高い期待感を抱く人が多く見られました。
期待と不安の間で
調査結果には、メタバースに対する期待と同時に不安も含まれています。全体の調査では、メタバースによって生じる新たな問題を懸念する声が多く、一方でメタバース経験者はその影響についてのポジティブな視点が強調されています。このように、期待と不安が共存する複雑な心理が読み取れる結果となっています。
情報行動と12の欲求
さらに、メタバース経験者は、生活者の情報行動の元となる「12の欲求」に基づいた調査でも全体より高い値を示しました。特に「発見欲」や「簡便欲」といった具体的な欲求が実現可能な場としてメタバースを捉えており、これらは特に重要な要素として浮き彫りにされています。
リアルとデジタルの使い分け
興味深い点として、メタバース経験者はすべてをデジタルで完結させたいわけではなく、リアルな体験を強く望む場面も多く見受けられます。観光や食事、ファッションといった分野ではリアルな体験を重視しており、「リアル」と「デジタル」のバランスを取る意向が高いことが明らかになりました。これは、メタバースが全ての体験にとっての代替ではなく、あくまで併用する手段として受け入れられている証と言えます。
公共領域への期待
特に公共サービスの分野では、メタバースの活用が期待されているとの結果が示されています。「まちづくり」や「観光」「教育」といった領域での期待が高く、これによりインクルーシブな社会の形成が進むことも考えられます。ここでもメタバースの可能性が重要視されており、社会全体に適応した新たな価値が生まれることを期待されています。
技術進化の必要性
ただし、没入感や臨場感を求める領域については技術的な発展が期待されるとの声も多く、充実した体験を得るためにはさらなる技術革新が重要であることが強調されています。メタバースは単に仮想空間を提供するだけでなく、そこにいる人々の生活に実質的な影響を及ぼす存在となる可能性を秘めています。
まとめ
今回の調査結果から、メタバースの未来についての多様な視点が浮き彫りになりました。経験者たちはメタバースを通じて得られる新たな発見や、日常生活の利便性向上に強い期待を寄せています。しかし、その一方で現実世界との融合と技術的進化が不可欠であることも認識されており、今後の展望を見守る必要があります。メタバースのさらなる発展により、私たちの社会がどのように変化していくのか、関心を持って追いかけていきたいところです。