新たに航海へと旅立った「さんふらわあ かむい」
2024年1月21日、大洗と苫小牧を結ぶ新しいLNG燃料フェリー「さんふらわあ かむい」が就航しました。この航路は、株式会社商船三井とそのグループ会社である商船三井さんふらわあが展開しており、これまで同航路で使用されていた「さんふらわあ だいせつ」の代わりに運航を開始しました。
「さんふらわあ かむい」は、主にLNG(液化天然ガス)を燃料とすることで、従来の船舶に比べてCO2の排出量を約35%削減することが可能です。これは、最新技術の導入によって実現されました。特に注目すべきは、「ISHIN船型」として知られる、風の力を推進力として活用する設計です。これにより、航行中の揺れを軽減し、よりスムーズな航行が実現します。
快適さと利便性の向上
また、「さんふらわあ かむい」では、貨物車両の積載スペースが広がった他、全客室が個室化され、特にトラックドライバーたちがより快適に過ごせる空間が確保されました。これにより、物流の現場での労働環境が大きく改善され、2024年問題ともされる課題への対応が期待されます。
本船には、フィットネスルームやキッズスペース、さらには展望浴場やサウナなど、多彩なパブリックスペースが設けられ、乗客にはリラックスできる環境が提供されています。最近では、ペット同伴の旅行ニーズが高まっているため、「ウィズペットルーム」も新設され、家族の一員としてペットを連れての旅が可能になりました。
中長期的な計画
「さんふらわあ かむい」は、商船三井さんふらわあにとって、国内でも3隻目となるLNG燃料フェリーであり、今後も2025年には姉妹船「さんふらわあ ぴりか」が就航予定です。これにより、大洗~苫小牧航路及び大阪~別府航路で、4隻のLNG燃料フェリーによる安定した運航が実現します。
商船三井グループは、2050年を見据えた「ネットゼロ・エミッション」達成に向けて、さらにクリーンな代替燃料の導入を進め、脱炭素社会への貢献を目指しています。LNG燃料による環境対応の先駆けとして、今後も他の新燃料の研究や導入に取り組む方針です。
結論
「さんふらわあ かむい」の就航は、ただの新しい船の登場ではなく、環境に優しい物流と旅の新たなスタイルを示す移行点となります。快適さと効率性を兼ね備えたこのフェリーは、利用者にとっても魅力的な選択肢となるでしょう。