巴川コーポレーションが目指す新素材「グリーンチップ CMF」
株式会社巴川コーポレーション(以下TOMOEGAWA)は、持続可能な未来を実現するための新しい素材「グリーンチップ CMF」を開発しました。この素材は、木材由来のセルロース繊維を55%配合した樹脂で、環境に与える負荷を大幅に減少させることができます。TOMOEGAWAは、年間販売量2,000トンを目標に、製品の流通とコスト削減にも力を入れています。
環境への影響を考えた革新的な素材
「グリーンチップ CMF」の大きな特徴は、その環境負荷の低さにあります。従来の石油由来樹脂と比較して、使用されるセルロース繊維の割合が高いため、プラスチックの使用量を減らすことができます。また、この製品はCO₂排出量を約20%削減することができ、持続可能な材料として注目されています。
現在、この樹脂はテーブルウェアや日用品、工業製品など、さまざまな分野での採用が進んでおり、今後は自動車部品などのより高い性能が求められる分野にも展開していく予定です。
課題とその克服への取り組み
自動車分野での使用を想定する場合、耐衝撃性などの物性に関する課題が存在します。TOMOEGAWAでは、耐衝撃グレード「シャルピー衝撃強度11.5kJ/m2」を達成し、自動車部品メーカー向けのサンプル供給を始めています。
さらに、成形性についても優れた特性を持っており、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)と同等の成形性を実現。現在のグレードでメルトフローレート(MFR)が20g/10minを達成し、より高い流動性を実現したグレードも供給予定です。
目指すは1,000円/kg以下の実現
TOMOEGAWAは、バイオマス材料を日常生活に普及させるため、市場の形成に向けた取り組みを進めています。生産工程の効率化により、「グリーンチップ CMF」の価格を1,000円/kg以下に抑えることができる見通しが立ちました。これにより、さらなる販売促進と市場への流通が期待されます。
普及が進む中で、年内に年間軸の販売量は1,200トンを見込み、2028年にはさらに2,000トンを目指す計画です。
「グリーンチップ CMF」の魅力
いくつかの観点から「グリーンチップ CMF」の優れた特性を挙げてみましょう。
1.
環境対応:セルロース繊維の高配合により、石油由来樹脂の使用削減に寄与。プラスチック問題への解決策となります。
2.
機械特性:未強化PP樹脂よりも優れた強度と耐熱性を持ち、製品の軽量化が可能です。
3.
成形性の高さ:金型を用いた成形が容易で、他の樹脂とのコンパウンドも可能になっています。
このように、巴川コーポレーションの「グリーンチップ CMF」は、ただの素材にとどまらず、環境に優しい未来を想像させる強力な武器となるでしょう。今後の展開から目が離せません。