高齢者の低たんぱく質栄養状態を早期発見する新しい指標:血中アルブミン酸化還元バランス
日本の高齢化社会において、高齢者の低栄養は深刻な問題です。食欲不振や食生活の変化によってたんぱく質不足に陥りやすく、サルコペニアやフレイルといった健康リスクが高まります。
森永乳業グループは、この問題解決に向けて、東京都健康長寿医療センターと共同研究を実施しました。研究では、地域在住の高齢者1,011人を対象に、たんぱく質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスの関係を調査しました。
その結果、血中アルブミン酸化還元バランスは、たんぱく質摂取量が低い高齢者で有意に変化することが明らかになりました。一方、従来の栄養指標として用いられてきた血中アルブミン濃度には、たんぱく質摂取量との関連は見られませんでした。
血中アルブミン酸化還元バランスとは?
血中アルブミンには、酸化型と還元型の2種類が存在します。食事から十分なタンパク質を摂取すると、還元型アルブミンが増加し、酸化型アルブミンは減少します。逆に、タンパク質不足になると、酸化型アルブミンが増加し、還元型アルブミンは減少します。
血中アルブミン酸化還元バランスは、この2種類のアルブミンの比率を示す指標です。今回の研究では、このバランスが、高齢者のたんぱく質栄養状態をより早期かつ正確に反映する指標となる可能性が示されました。
今後の展望
森永乳業グループは、今回の研究成果を基に、血中アルブミン酸化還元バランスを指標とした高齢者の低栄養状態の早期発見と栄養改善指導に役立てるための研究開発を進めていく予定です。
この新しい指標が、高齢者の健康維持と生活の質向上に貢献することが期待されます。