埼玉県が開発した新たな再資源化技術
埼玉県産業技術総合センターと国立大学法人富山大学が協力し、廃自動車ハンドルから低コストでマグネシウム合金を回収する技術を開発しました。この技術は、これまで産業廃棄物として処分されていた使用済みのハンドルに新たな価値をもたらすものです。SDGsやサーキュラーエコノミーの観点からも重要な一歩となるこの技術について詳しく見ていきましょう。
1. 使用済みハンドルに使用されるマグネシウム合金
自動車のハンドルは、軽量化による操作性や衝撃吸収による安全性の両立のため、マグネシウム合金を埋め込んだポリウレタン樹脂で作られています。このため、使用済みハンドルからマグネシウム合金を取り出すことは容易ではありません。ポリウレタン樹脂の強い接着力や特殊な形状は、物理的な方法での取り外しを困難にしています。また、焼却処理を行った場合、有害なガスが発生するなどの環境問題も懸念されています。そのため、使用済みハンドルは長らく産業廃棄物として扱われ、何も活用されていませんでした。
2. 開発されたマグネシウム合金回収技術
新たに開発された技術は、ポリウレタン樹脂とマグネシウム合金の間で反応せずに、ポリウレタンだけを効果的に分離する溶液を使用します。この溶液は、ポリウレタン樹脂の接着面に良く浸透し、親和性の高い成分を含んでいます。これにより、効率的に剥離し、物理的な力を加えることでマグネシウム合金を回収することが可能となりました。
低コストで大量に処理できるこの技術は、既に回収したマグネシウム合金の品質も保証されており、実用化に向けた道筋も見えています。
3. 今後の展開
今後、希望する企業に対してこの技術の移転を進め、実用化に向けた支援を行っていく予定です。具体的には、技術の改善や最適化を行い、企業がこの技術を利用できるようにサポートします。また、一般社団法人軽金属学会が主催する秋期大会(11月8日から10日)では、この新技術についての発表も予定されています。
4. お問い合わせ先
もしこの技術についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の連絡先までお問い合わせください:
産業技術総合センター 生産技術・事業化支援室 田中・栗原
電話: 048-265-1421
FAX: 048-265-1334
メール:
[email protected]
この新しい技術は、資源のリサイクルや環境保護に大きく貢献することが期待されています。今後の進展から目が離せません。