介護施設の食費分析：地域差や法人間の違いを明らかにする新たな報告

ミーカンパニー株式会社は、全国の介護施設の食費データを詳細に分析し、その結果を元にしたミニレポートを無料で公開しました。これにより、介護施設の食費設定における地域差や法人間の違い、さらに委託状況に基づく料金の変動が明らかになりました。

データ分析の概要

今回のデータ分析は、『SCUEL（スクエル）』という介護施設データベースを活用し、全国約4万件の介護施設の食費情報を対象に行われました。分析は、食費の地域差や運営形態、施設の比較など多角的な視点から実施されています。事前に非構造化データをAIを用いて整理・整形し、利用可能な形にした上で、様々な切り口からの調査を行っています。これにより、食事サービス提供事業者や施設運営者が意思決定を行う上で有益な情報を提供することを目指しています。

食費データの主な傾向

この分析では、以下の主なテーマに焦点を当てました：
1. 委託先の有無による料金差
2. 地域による食費の違い
3. 定員規模による料金の変化
4. 介護付き有料老人ホーム運営法人間の食費比較

1. 委託先の有無による料金差

サービス付き高齢者向け住宅において、食事が外部委託されている場合とされていない場合で料金に差が生じていることが確認されました。例えば、委託先がある施設の平均的な月額食費は49,000～52,000円であり、特に栃木県や静岡県では高額傾向にあります。一方、委託先なしの施設では、ほとんどの場合3,000〜4,000円安い7250円台となる場合が多く、この傾向は各地域で確認されています。

2. 地域による食費の違いとその配分パターン

介護老人保健施設の食費データを見ても、地域によって設定される価格が異なるということがわかりました。特に都市部である東京や神奈川では昼食単価が700円を超えているのに対し、近畿地方では朝食が安価で設定されている傾向が見受けられます。このような地域独自の食文化が価格に影響を与えていることが示唆されます。

3. 定員規模による料金差

分析によれば、施設の定員規模が食費に影響を与えることも知られています。小規模な施設（19人以下）より、中規模（20～59人）や大規模（60人以上）施設の食費は高くなる傾向があり、サービス提供の効率性や質の違いが食費に反映されていることが明らかとなっています。

4. 法人間の食費比較

介護付き有料老人ホームの場合も、運営法人によって食費の差は顕著です。高額で提供する法人から、お手頃な価格で運営する法人まで、多様な価格設定がされており、それぞれの経営戦略やターゲット層によって異なる特徴を持っています。たとえば、高価格帯の法人は入居一時金や別のサービスでの差別化を図っていることが考えられます。

市場変化への対応

人材不足や食材コストの上昇が続く中、介護施設では調理方法や提供方式の見直しが進んでいます。今後、多くの施設が外部委託型や冷凍食品の再加熱方式にシフトしていくと予想され、これが価格設定にも影響を与えると考えられます。地域に応じた運営の最適化やコスト管理、サービスの多様化がますます重要となっていくでしょう。