地域建設業の働き方改革に関する新たな調査結果
2023年2月に続き、株式会社日本コンサルタントグループが行った地域建設業の働き方改革に関するアンケート調査が公表されました。本調査は、2024年4月から施行される予定の「時間外労働の上限規制」への対応をテーマにしており、建設業界の動向を理解するための重要な資料となっています。
調査の概要
本調査の目的は、働き方改革関連法の施行から半年が経過した後の業界各社の対応状況を把握し、業界内の課題を明確にすることにあります。2023年2月の調査結果と比較することで、建設業界の変化を分析する狙いも含まれています。調査対象は全国から選ばれた1,277社の建設業者で、135社からの回答を得ました。
主な調査結果
調査結果によると、時間外労働の上限規制への対応は多くの企業で順調に進んでおり、「時間外を含む総労働時間が減少した」と回答した企業が多数を占めています。この結果は、働き方改革が一定の効果をもたらしていることを示しています。また、週休日の状況については、「おおむね4週8休」という回答が最も多く、業務改善や生産性向上が浸透してきていることが伺えます。
企業が働き方改革を推進する上で重要だと考える要素には、「発注者の理解」、「人員の確保・増員」、さらに「経営トップによる意識啓発」が挙げられました。これに続いて、発注者の業務の簡素化や業界全体の意識改革が求められているとの結果が得られました。
業務の移管や分担に関しては、一定の書類が他部門に依頼されるケースが見受けられる一方で、「あまり行われていない」または「全く行われていない」と答える企業も少なくありませんでした。このことから、業務削減への取り組みがまだ十分でない現状が浮き彫りになりました。
発注者や施主への理解を求める要請については、物件ごとに柔軟に対応している企業が多いものの、その理解が一様ではないという課題も浮き彫りになりました。前回の調査では、理解のある発注者は少なかったものの、今回の結果では約2割が理解を示すと回答しており、少しずつ状況が改善しています。
また、業務改善に成功した具体的な業務としては、「工事事務所内での打ち合わせ」や「工事現場での業務」が挙げられ、ITやデジタルトランスフォーメーション(DX)による影響も見受けられます。
今後の展望
働き方改革は今後の地域建設業において重要な課題であり、調査から得られた結果を基に、さらなる業界全体の意識改革や一貫した取り組みが必要です。発注者とのコミュニケーション改善や業務の効率化が急務で、建設業がより健全で持続可能な業界へと変化していくためには、一層の努力が求められます。
詳しい調査結果は、株式会社日本コンサルタントグループの公式サイトでダウンロード可能です。このデータを基に、建設業界が抱える問題の解決に向けた動きが加速することを期待しています。