「2025年新富裕層調査」の概要
株式会社博報堂が運営する富裕層マーケティングラボ(HAML)は、2024年に公開した「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」に続き、2025年の調査を発表しました。この調査は、主に世帯年収が3,000万円以上の高所得層に焦点を当て、その消費意識や投資行動の変化を捉えることを目的としています。
調査の目的と対象
調査は2025年3月14日から25日の間に実施され、20歳から69歳までの男女3,512名が対象となりました。特に、世帯年収1,500万円以上の「インカムリッチ」と、金融資産1億円以上の「ウェルスリッチ」との境界に注目し、様々なカテゴリーでの意識や行動を深く掘り下げました。
主な調査結果
インカムリッチとウェルスリッチの境界
調査によると、世帯年収3,000万円以上の層では51.6%が金融資産1億円以上を保有し、世帯年収5,000万円以上では68.6%に上ります。この結果、3,000万円以上がインカムリッチ層とウェルスリッチ層を分ける重要な境界であることが明らかになりました。
投資行動の傾向
世帯年収が高くなるほど、株式やNISAの利用はもちろん、アクティブファンドや不動産投資信託(REIT)、さらに仮想通貨などのオルタナティブ資産への関心が高まる傾向が見受けられました。特に、5,000万円以上の世帯では高リスク資産への投資が顕著で、金融資産の拡大と共に投資対象も多様化しています。
健康やウェルビーイング志向
前回調査から引き続き、インカムリッチ層では「タイパ志向」や「健康・ウェルビーイング志向」が高まる傾向が見られました。また、家事や育児の外注志向も増加しており、世帯年収3,000万円以上では力を入れていることが伺えます。
教育への投資意識
教育に対する関心も強まり、子供のための留学や教育環境への投資は、世帯年収3,000万円以上の層で特に顕著に見られました。これにより、良い教育を受けさせようとする姿勢が、所得に比例して高まっていることが示されています。
文化やアートへの興味
また、アートやカルチャーへの探索欲も増加しており、収入が高い世帯ほど文化的な消費やストーリーを重視した消費行動が強まる傾向が見られました。このような背景から、物質的な価値だけでなく文化的な意味を追求することが消費行動に影響を与えています。
まとめ
この調査から、世帯年収3,000万円以上が新しい富裕層の特性を表す重要な指標であり、消費行動や意識に大きな変化が見受けられることが明らかになりました。博報堂はこのデータを基に、マーケットのニーズに応じた戦略を展開し、新たな富裕層層へのアプローチを探求していくことでしょう。新しい富裕層層のニーズに応え、彼らの期待に応えるためには、単なる製品やサービスの提供に留まらず、「ストーリー」や「文化的な価値」を重視したマーケティング手法が求められています。