高槻市富田地区で広がる冬の風物詩、酒造り
高槻市西部の富田地区は、冬の季節になると「新酒」造りが本格的に始まります。2024年12月5日には、伝統的な酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、国内外でその魅力が再評価されています。富田地区は、酒造りに適した条件が揃っており、良質な米と阿武山山系の地下水が豊富に湧き出る素晴らしい土地として知られています。
この地域は、「北摂三銘酒」として名高い池田や伊丹と並び、銘酒の生産地としての歴史を誇ります。特に文政5年(1822年)に創業した壽酒造株式会社は、地元の酒蔵としてその名を知られ、長い歴史を持つ酒造りを現在も続けています。
現在、壽酒造では10月中旬から新酒の作業を始めており、毎年3月頃まで続きます。12月上旬からは本格的な酒仕込み作業が行われ、特にこの日は6人の職人が一丸となって作業を進めていました。まずは、お米を蒸し器で約1時間蒸し、その後、冷却してタンクに運びます。このタンクでお米は発酵し、酒の生命が育まれます。
発酵過程では、温度調節や発酵具合を調整するために、「櫂入れ」という作業も行われます。これは、タンク内のもろみをかき混ぜることで、均等な発酵を促進する重要な工程です。そして、発酵が進んだ後には、ろ過機を使って透明なお酒仕上げる作業が待っています。この一連の作業を通じて、冬の到来を感じることができます。
壽酒造の製造担当、野村健さんは「今年も美味しいお酒ができています。にごり酒も2年ぶりに製造したので、ぜひご賞味いただきたいです」と自信を持って語りました。地元のお酒作りに関わる情熱と技術が織り成す新酒の出来栄えに期待が高まります。
冬の寒空の下、職人たちの手から生まれる日本酒には、地域の風土や文化がしっかりと詰まっています。高槻市富田地区の新酒造りは、ただの酒の製造ではなく、伝統を守り続ける地域の誇りでもあります。これからも、地元の人々に愛される酒造りが続いていくことを願ってやみません。地元の新酒をぜひ楽しんでみてはどうでしょうか。