名古屋市立大学とウシオ電機は、共同で新たな紫外線治療器『セラビーム®UV308 mini LED』を開発しました。この製品は、国産初の紫外線LEDを採用した治療機器で、皮膚疾患への対応を強化することを目的としています。これまでのランプ光源方式を踏襲した『エキシマライト光線療法機器』は、2008年から約1200施設で使用され、高い治療効果と安全性が実証されました。今回は、この経験を基に、UVB-LED光源システムを搭載した新型治療器が誕生しました。
この新しい治療器は、308nmの紫外線ピーク波長を持ち、特に乾癬治療に最適とされています。開発過程では、安全性と有効性を維持するために、細胞レベルでの波長選定を行い、紅斑作用を抑える設計が行われました。307nmが紅斑作用の少ない波長として選ばれ、308nmは治療において理想的な波長となりました。これにより、従来の機器に比べ、副作用を抑えながら高い効果を持つ治療が可能になりました。
従来のランプ光源方式は、安定した光を保つことが難しいという課題がありましたが、新たに共同開発した制御技術により、安定した高出力のLED照射が実現しました。この技術革新により、消費電力は約70%削減され、光源の寿命は4〜5倍に延長されました。こうした省エネ化や長寿命化の実現は、医療の現場においても大きなメリットとなります。
『セラビーム®UV308 mini LED』は、さらなる患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に寄与することが期待されています。軽量でコンパクトなデザインに仕上げられており、使用時の負担を軽減しています。ハンドピースは370gと軽量で、設置スペースもA4サイズ以下に抑えられています。そのため、治療の際の操作性も向上しています。
大阪大学医学部の森田明理教授は、この新型治療器について、「光の良い部分を選んで治療に活かすことを追求してきた結果、多くの難治性皮膚疾患に対して新たな治療の選択肢が広がる」とコメントしています。教授は過去にも複数の紫外線照射治療機器の開発に関与しており、今回の製品もその成果の一つといえるでしょう。
新型『セラビーム®UV308 mini LED』は、具体的にどのような特長を持っているのでしょうか。
- - 速さと効率性: 高出力LEDにより、照射時間が従来の1/4に短縮され、患者への負担が軽減されています。この迅速な治療が、医療現場において大きな利点となるでしょう。
- - 軽量設計: ハンドピースは約370gと、従来型の約1/3の重さに抑えられ、扱いやすさが向上しました。
- - 省エネと長寿命: 消費電力量を約70%削減し、光源寿命は約4〜5倍に延びることで、持続可能な医療環境の実現につながります。
- - クオリティの確保: 開発から販売、アフターサービスに至るまで、全て国内で一貫して行われており、安心して使用できる製品です。
名古屋市立大学とウシオ電機の取り組みは、ただの治療機器を超えて、医療分野全体の発展に寄与していくことでしょう。今後も、彼らの技術革新から目が離せません。