猫の健康とIoT
2020-08-03 09:10:01
猫の健康管理が変わる!新しいIoT活用法「プラスサイクル」
近年、ペットの健康管理において重要性が増しているのが、モニタリング技術の活用です。この流れに乗って、猫の身体活動と睡眠を評価する新しいIoTツール「プラスサイクル」が注目を集めています。アメリカの科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された研究によると、高齢猫の身体状態を客観的に評価するための有効な方法として、その効果が示されています。
研究背景
高齢猫は特に運動器疾患にかかりやすいことが知られています。実際、12歳以上の猫の70%が変形性関節症などの疾患を抱えると言われています。それに伴い、早期の行動変化を捉えることが健康管理において重要ですが、猫の場合、身体活動の変化を定量的に評価する方法はこれまで限られていました。この問題に取り組んだのが今回の研究です。
プラスサイクルの登場
「プラスサイクル」は猫専用に開発された活動量計で、動物病院と連携しながら健康管理を目指すツールです。この機器は、3軸加速度センサーと気圧センサーを搭載しており、運動量やジャンプ数を数値化してくれます。また、軽量で小型なため、猫にストレスを与えず装着することができます。これにより、より正確なデータ収集が可能となり、猫の健康状態の把握に役立てられます。
測定の精度
研究では、「プラスサイクル」と従来の活動量計「Actical」を同時に装着し、実際の猫の活動を記録しました。その結果、2つのデータが強く相関していることが確認され、プラスサイクルは非常に高い精度で身体活動を評価できることが示されました。この精度は治療効果を測定する際にも活用できると言われています。
年齢ごとの身体活動の変化
この研究では、健康な猫61頭にプラスサイクルを装着し、活動量やジャンプ数を測定しました。その結果、加齢に伴い、活動量やジャンプ回数が有意に減少し、安静・睡眠時間が増加することが分かりました。このような変化から、運動器疾患を早期に発見するためには、活動量に加えてジャンプ回数も重要な指標になるとされています。
睡眠と健康
また、昼間の睡眠時間は増加する一方で、夜間の睡眠時間はほぼ一定であることも明らかになりました。これは、高齢の猫においても痛みや疾患が影響している可能性があります。今後、夜間の睡眠の質を定量的に評価することで、痛みや疾患の早期発見が期待されています。
結論と今後の展望
プラスサイクルは、猫の身体活動や睡眠の質を正確に評価できることが認められ、飼い主の期待に応えるツールとして注目されています。これにより、早期発見や予防医療の実現が可能となり、猫の健康管理が大きく変わることでしょう。今後も、より多くのデータを集め、実用化を進めていく予定です。
共同研究の貢献
この研究は、日本大学獣医外科学研究室と日本動物高度医療センターが共同で実施したもので、猫の健康管理に新たな視点を提供しています。プラスサイクルは、動物病院と連携し、さらなる研究開発の進展を目指しています。
まとめ
高齢猫の健康問題に対する解決策として「プラスサイクル」が期待されており、ペットに対する愛情がより深まる時代が訪れています。今後は、ぜひこのようなツールを活用して、愛猫の健康を守っていきましょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社日本動物高度医療センター
- 住所
- 神奈川県川崎市高津区久地2-5-8
- 電話番号
-
044-850-1320