マルチタスク脳の秘密
2024-07-17 12:52:39

マルチタスクで頭がパンクするメカニズム解明!脳活動可視化でわかった二重課題干渉の秘密

マルチタスクで頭がパンクする? 脳活動可視化でわかった二重課題干渉の秘密



「スマホをいじりながらテレビを見る」「会議中にメモを取る」など、私たちは日常的に複数のことを同時に行うマルチタスクをこなしています。しかし、集中力が途切れたり、ミスが増えたり、頭がパンクしそうになった経験はありませんか?

このような「二つのことを同時に行おうとしてうまくいかなくなる状態」は、学術的には二重課題干渉(DTi)と呼ばれ、高齢者の認知機能低下に深く関わっていることが知られています。しかし、若年者においても高い認知負荷を伴うマルチタスクではDTiが生じるのか、その脳内メカニズムは未解明でした。

明治大学理工学部小野弓絵教授らの研究グループは、このDTiに着目し、若年成人を対象とした実験で、脳活動の変化を可視化することに成功しました。

若年者でもマルチタスクで頭がパンクする!



研究では、被験者に「渦巻きを描きながら数字を足し算する」という運動と認知の二重課題を課しました。その結果、二重課題を同時に行うと、単独で行う場合に比べて、認知と運動の両方の成績が低下することが確認されました。これは、若年者でも、高い認知負荷を伴うマルチタスクではDTiが生じることを示唆しています。

脳活動の変化からわかった二重課題干渉のメカニズム



さらに、脳活動の解析では、二重課題時に右前頭葉の活動が増加し、右前頭葉から右頭頂皮質への情報伝達が増加していることが明らかになりました。興味深いことに、この情報伝達が強いほど、計算課題の成績が低下するという関係性が見られました。

このことから、右前頭葉から右頭頂皮質への情報伝達の増加が、マルチタスク中の過剰な認知負荷、つまり「頭がパンクしそうな状態」を示すバイオマーカーである可能性が示唆されました。

DTi研究の新たな展開へ



今回の研究は、DTiが若年者でも起こりうることを示しただけでなく、その神経メカニズムとして右前頭頭頂ネットワークの関与を明らかにした世界初の研究です。この成果は、DTiの理解を深め、高齢者だけでなく、認知機能低下を伴う若年者の精神疾患や脳疾患患者、さらには一般の方々への認知機能トレーニング開発に繋がる可能性を秘めています。

将来的には、個々の認知機能に応じたトレーニング方法の開発や、DTiを早期に発見し、予防するための技術開発が期待されます。


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