大阪・関西万博で注目の「森になる建築」
2025年に迫る大阪・関西万博で、展示内容だけでなく環境への配慮も話題になっています。注目すべきプロジェクトの一つが、竹中工務店が手掛ける「森になる建築」です。この建築物は、訪れる人々が休憩するための仮設施設ですが、そのコンセプトには驚くべきエコロジーが詰まっています。
環境への挑戦
「森になる建築」の最大の特徴は、ダイセルが開発した天然由来素材、酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」を使用している点です。この素材は、生分解性を持つことにより、使い終わると廃棄物ではなく「森」へと変わります。従来の建築物とは異なり、使用後の資源として再利用されることを目的としています。このように、ダイセルは「バイオマスバリューチェーン」という長期的なビジョンを掲げ、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
3Dプリントの先駆け
「森になる建築」は、酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」を3Dプリントすることでその構造を組み立てています。また、外装には手作りの和紙や植物が使われ、ナチュラルな見た目を演出します。この技術は、世界でも類を見ない大きさの生分解性建築物を実現するもので、特に注目されています。建物の大きさは直径4.65メートル、高さ2.95メートルの2棟が予定されています。
具体的なプロジェクト概要
- - 建築地: 万博会場敷地内大地の広場
- - 設計施工: 竹中工務店
- - 工期: 2024年8月〜2025年4月
- - 構造: 酢酸セルロース造
- - 主要仕上材:
- (外装)和紙、植物の種子・苗
- (内装)酢酸セルロース表し
- (床)三和土
このプロジェクトは、環境問題への関心が高まる中、持続可能な素材を用いた建築の新しい形として、多くの人々に新しいメッセージを発信します。
業界への影響
「森になる建築」は、その革新的な取り組みにより、環境建築のスタンダードを引き上げることが期待されています。このプロジェクトは、建設業界における生分解性素材の利用促進をもたらす可能性が高く、従来の工法に対する一石を投じることでしょう。
ダイセルの酢酸セルロース樹脂「CAFBLO®」は、非可食性の原材料から作られているため、食糧問題への影響を避けつつ、持続可能性を追求しています。これにより、環境への配慮と経済的価値の両立を目指すことが可能となるのです。
未来への期待
大阪・関西万博という国際的な舞台での「森になる建築」の建設は、デザインだけでなくその背景にある理念も広く注目されることでしょう。この新しい形の建築プロジェクトが、未来の建築文化に与える影響は計り知れません。
環境意識が高まる今日、私たち一人一人が選ぶ素材や建物、さらにはそれらをどう活用するかが重要になっています。「森になる建築」は、未来の建物がどのように進化しうるかの一つのモデルケースと言えそうです。