心不全と横隔膜の関係
2025-02-19 11:27:07

高齢心不全患者における横隔膜の厚さが予後に及ぼす影響の研究成果

高齢心不全患者と横隔膜の研究



研究の背景


最近、心不全は高齢者に多く見られる疾患で、さまざまな機能的障害を引き起こします。運動能力や呼吸機能の低下が心不全の悪化に寄与していることが知られています。しかし、これまでの研究では、心不全患者の横隔膜の状態がどのように予後に影響を与えるかについて具体的なデータが不足していました。そこで、順天堂大学大学院医学研究科の研究グループは、国内6つの施設と協力して、横隔膜の厚さを超音波で測定し、その結果と患者の予後との関連を調査しました。

研究内容概要


本研究では、599人の高齢心不全患者(平均年齢80歳)を対象に、横隔膜の厚さを評価しました。患者は自然呼吸時と深呼吸時の横隔膜の厚さを超音波で測定され、同時に年齢、体格、心不全の重症度、筋力、呼吸機能、心臓の状態などさまざまな因子が考慮されました。追跡調査は平均2年行われ、横隔膜の厚さと死亡率の関連を統計的に解析しました。

研究結果


研究の結果、呼吸時の横隔膜厚さの中央値は2.9mmで、それ以下の厚さの患者は高齢で低体重、心不全症状が重い傾向がありました。特筆すべき点は、横隔膜が薄い患者ほど死亡率が高いことが分かり、統計解析によりこれは年齢や心不全の重症度を考慮しても独立した予後因子であることが示唆されました。特に、横隔膜が1mm厚いごとに死亡リスクが22%低下するという結果が得られました。

新たな治療法の可能性


これまでの心不全の評価は主に全身の筋肉量や握力に依存していましたが、本研究の結果から、横隔膜の厚さが新たな予後指標として有用であることが示されました。将来的には、心不全患者への定期検査において横隔膜の厚さを測定し、リスク管理の一環として早期介入を行うことが期待されます。横隔膜トレーニングの導入により、心不全患者のQOL向上や予後改善につながる可能性も検討されるべきです。

今後の研究について


本研究では対象が高齢者に限られていましたが、若年患者や他の人種においても同様の傾向が見られるかを検証する必要があります。また、心不全の種類や重症度に応じた横隔膜の役割にも焦点を当てなければなりません。さらに、横隔膜厚に関する明確な基準値を確立することで、臨床現場での横隔膜評価がより実用的に活用されるでしょう。

研究のまとめ


本研究は、横隔膜の厚さが心不全患者の予後に影響を与えることを示す初めての大規模研究となりました。今後、心不全診療において呼吸筋の観点が取り入れられ、更なる治療法の開発が期待されます。

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この研究は2024年12月18日付で『JACC Cardiovascular Imaging』に発表されました。著者は順天堂大学を含む国内の研究者たちです。


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会社情報

会社名
学校法人 順天堂
住所
東京都文京区本郷2-1-1
電話番号
03-3813-3111

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