デンソーと三井倉庫が新たな物流モデルを実証
デンソーと三井倉庫ロジスティクス(MSL)は、幹線中継輸送サービス「SLOC」を活用した混載輸送の長期実証実験を開始しました。この実証実験は2025年5月頃までの約6カ月間にわたり、実際の貨物を用いて物流業界における課題を解決することを目指しています。
実証実験の背景
日本の物流業界では、2024年を迎えるにあたり深刻な人手不足や長時間労働の問題が予想されています。これに対処するため、デンソーとMSLは共同でSLOCを活用することにしました。このシステムは、コンテナを脱着できるスワップボディコンテナ車両を使用し、混載輸送の効率化を図るものです。
実施内容
実証実験は、2023年7月に行われた初回の実証結果をもとに進められます。今回の運用では、北関東から関西、そして再び北関東への貨物輸送が行われ、デンソーのAIアルゴリズムを駆使して荷物を最適に混載します。これにより、各荷主の希望する運行スケジュールを実現しつつ、積載率の向上を目指します。さらに、QRコードとスマートフォンを用いた管理システムで、コンテナの中継状況を確認する仕組みも取り入れています。
参加企業と役割
この実証実験には、デンソーとMSL以外にも運送協力企業として鈴与株式会社、フジトランスポート株式会社が参加しています。MSLは荷主との契約や荷物管理を担当し、デンソーは運行スケジュールの立案と運行管理を行います。
各社の期待
デンソーの執行幹部、加藤充氏は「SLOCの実用化に向けて大きく前進できる」とし、CO2削減とお客さまの幸せへつなげることを強調しています。MSLの社長、石川輝雄氏は「新たな輸送モデルの構築を共に挑戦できる貴重な機会」と評価し、人や地域、社会、環境に配慮した持続可能な物流ネットワークの構築を進める意向を示しました。
さらなる発展に向けて
両社はこの実証実験を通じて得られたデータをもとに、物流の効率化と環境への配慮を両立させた新しいモデルの構築を目指します。2024年問題を乗り越え、持続可能な物流体制を構築できるか、今後の展開に注目です。