三菱重工サーマルシステムズ、新工場向けの蓄熱システムを受注
三菱重工サーマルシステムズ株式会社が、愛三工業の安城新工場に向けて、帯水層蓄熱システムの供給を決定しました。このプロジェクトは中部地方初の大規模な社会実装案件として注目されています。施工を担当する株式会社大林組との連携により、実現したものです。
帯水層蓄熱システムの特長
今回導入される帯水層蓄熱システムでは、ヒートポンプ型ターボ冷凍機「ETI-Z25.HP」を導入します。この冷凍機は、冷房能力が234冷凍トン(823kW)という高い能力を持ち、冷水と温水の供給が可能です。また、環境に優しい冷媒「HFO-1233zd(E)」を使用しており、地球温暖化係数が1と極めて低い値を示しています。
システムは2025年の冬季に稼働開始を予定し、年間約50%のCO2排出量削減が見込まれています。このような省エネ性能が高く評価され、今回の施策は環境省の補助金も受けています。
多様なエネルギー利用方法
帯水層蓄熱システムは、地中に存在する帯水層の地下水を活用し、季節ごとに熱を循環利用します。これにより、冬期の暖房と夏期の冷房において冷排熱と温排熱を効率的に利用してエネルギーを有効活用することが可能になります。この先進的なシステムは、過去にも様々な賞に認定されてきました。2021年度には省エネルギーセンター会長賞を受賞し、2022年度にはデマンドサイドマネジメント表彰において振興賞を受けています。
愛三工業の新工場の目的
新設される愛三工業の安城新工場では、「ものづくり変革への挑戦」がテーマに掲げられています。この工場では、全体のカーボンニュートラルを達成するとともに、デジタル化(DX)を推進し、高付加価値な生産体制を構築しようとしています。具体的には、24時間稼働する全自動ラインの導入や、人とロボットの協働作業を通じた効率的な生産を目指しています。
三菱重工サーマルシステムズは、安城新工場において天然エネルギーの活用を通じて、持続可能なエネルギー循環の実現に寄与します。
このように三菱重工サーマルシステムズは、地域冷暖房や工場空調分野に多数のターボ冷凍機を供給しており、国内市場でのトップシェアを誇っています。今後も、顧客のニーズに応えつつ、カーボンニュートラルを推進する製品の提供に努めていく方針です。
結論
愛三工業の安城新工場での取り組みは、環境に優しいエネルギー利用と高効率な生産を両立させた事例として、他の企業にとっても参考になるでしょう。三菱重工サーマルシステムズの技術が、持続可能な社会の構築に向けた一助となることが期待されています。