商船三井株式会社(商船三井)と関西電力株式会社(関西電力)は、カーボンクレジット事業に関する協業を推進するための覚書を締結しました。この協業は、気候変動への対策を強化し、持続可能な社会を構築するための重要な一歩です。
本覚書に基づき、両社は大気中から二酸化炭素(CO2)を取り除くことに焦点を当てたプロジェクト、いわゆる除去系クレジット創出プロジェクトの開発を進めていく方針です。このプロジェクトでは、アフリカや東南アジアなどでの調査と検討を行い、経済性と事業性を評価します。
商船三井は、2050年までにネットゼロエミッションを達成することを目指し、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を策定しています。この中で、2030年までに累計で220万トンのCO2除去に貢献するという具体的なマイルストーンを設けており、除去系クレジット創出事業を通じてこの目標に向かって邁進しています。
一方、関西電力は「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」に則り、自らの事業活動だけでなく、社会全体のゼロカーボンへの取り組みを推進しています。将来的には、カーボンクレジットの創出から販売、トレーディングまでを自立的に行うことを目指しています。
このような取り組みは、両社の過去の協業の延長線上に位置します。これまでにも、CCS(Carbon Capture and Storage)分野での液化CO2船の設計や、水素分野における液化水素運搬船の共同開発が進められてきました。
除去系クレジットは、大気中からのCO2を直接的に取り除く方法に基づいています。この手法は、大きく分けて自然系と技術系に分類され、自然系には植林や再植林、土壌炭素貯留などが含まれ、技術系にはDACCS(Direct Air Capture and Storage)や、バイオマス発電とCO2貯留を組み合わせたBECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)などがあります。
本協業の具体的な取り組みとしては、以下の項目が挙げられています。まず、除去系クレジット創出プロジェクトの具体的な案件を提案し、次にその事業性や経済性を徹底的に検討します。また、プロジェクトのデベロッパーやオペレーターを評価し、プロジェクトへの参加機会を提供することも計画されています。そして、除去系クレジットのオフテイクについても協議を行います。
この覚書は、商船三井と関西電力が持続可能な未来へ向けての強い意志を示すものであり、両社が一丸となって取り組む姿勢が感じられます。これからの進展が期待されます。