気管支拡張症治療の革新ブレンソカチブ、NEJMでのASPEN試験結果の発表
ブレンソカチブのASPEN試験が示す未来の治療希望
2025年4月23日、米国のインスメッド社が発表したプレスリリースにより、非嚢胞性線維症気管支拡張症(NCFBE)を対象としたブレンソカチブの第III相ピボタル試験即ちASPEN試験の結果が、世界的に権威ある「New England Journal of Medicine」に掲載されました。この試験は、承認された治療薬が存在しない重篤かつ慢性進行性の炎症性肺疾患に対するもので、過去最大規模での国際共同研究として話題を集めています。
ASPEN試験の成果
ASPEN試験は、気管支拡張症の治療における新たな希望を示唆しています。この試験では、ブレンソカチブの投与がプラセボと比べて呼吸器疾患の増悪頻度を有意に減少させる結果が得られました。具体的には、ブレンソカチブを25mg投与された患者群が、呼吸器症状の悪化を抑制し、肺機能低下の進行を有意に抑えることが明らかとなりました。この成果は、気管支拡張症に苦しむ数百万人の患者にとって新たな治療の可能性を示しています。
試験の結果、同薬の投与群での年間疾患増悪の発生率は、ブレンソカチブ10mg群が1.02、25mg群が1.04、プラセボ群が1.29という数字で、どちらもプラセボ群に比べて統計学的に有意に低い結果となりました。これにより、ブレンソカチブが気管支拡張症において新たな治療選択肢となることが期待されています。
今後の展望と期待
この試験の結果は、医学的にも商業的にも重要な意義を持つとされています。インスメッド社の最高医学責任者(CMO)であるマルティナ・フラマー博士は、ブレンソカチブが気管支拡張症患者の治療における大きなニーズに応える可能性を秘めていると述べています。また、同薬は初の承認を受けるDPP1阻害剤として、炎症性疾患に新たなアプローチを提供するものとなります。
さらに、現在、ブレンソカチブは米国食品医薬品局(FDA)において優先審査を受けており、2025年8月12日が目標日とされています。そのため、今後の進展に注目です。
気管支拡張症とは
気管支拡張症は、慢性的な呼吸器疾患での一形態であり、肺機能の低下や頻繁な感染を引き起こすものです。日本国内には約15万人の気管支拡張症患者がいると推定されていますが、現在使える治療法は限られています。ブレンソカチブの成果が、これらの患者にとって新しい希望につながることが期待されています。
このように、ブレンソカチブのASPEN試験の成果は、気管支拡張症患者への新たな治療法の道を開くものとして、今後の動向に注視が必要です。インスメッド社が実現しようとする「人を第一に考える」治療が、どのように患者の未来を変えるのか、期待が高まります。
会社情報
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インスメッド合同会社
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- 東京都千代田区永田町2-10-3東急キャピトルタワー13階
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