熱帯雨林を監視
2026-01-15 14:25:23

新たな観測法で熱帯雨林の監視を強化 - ひまわりの最新研究成果

熱帯雨林の新たな健康診断法



近年、環境問題がますます注目される中、熱帯雨林の健康診断が注目を集めています。特に、東南アジアの熱帯雨林は地球規模の炭素循環において極めて重要な役割を果たしていますが、エルニーニョ現象や急速な森林減少などさまざまな要因によりその健全性が脅かされています。こうした背景の中、千葉大学環境リモートセンシング研究センターを中心とする研究グループが、静止気象衛星「ひまわり8/9号」を用いて新しい観測幾何条件を提案し、注目を集めています。

新手法「S-CSA」の導入



この研究チームは、新たに「S-CSA(Spatially-Constant Scattering Angle)」という観測幾何条件を考案しました。これにより、衛星が地表を観測する際のバイアスを大幅に低減できることが分かりました。具体的には、S-CSA条件のもとで算出された植生指数は、地上での光合成によるCO2吸収量との相関が高く、季節ごとの変動をより正確に把握できるようになっています。

観測の重要性



植物は太陽の光を利用して光合成を行い、そのプロセスで二酸化炭素を吸収しています。しかし、以前は観測角がそれぞれの地点で異なるため、データにバイアスが生じ、正しい評価が難しい状況でした。S-CSA手法により、この問題を解決し、均一で高精度なモニタリングが可能となります。

具体的な成果



研究グループは、ひまわりのデータを用いて、従来の手法との比較を行い、S-CSA条件に基づく観測が最も高い精度で植生指数を算出できることを示しました。具体的には、以下のような成果が得られました。

1. CO2吸収量との相関が向上
S-CSA条件で得られた植生指数は、地上観測との相関が最も高く、季節変動をより正しく捉えています。
2. 地域ごとのバイアスが抑制
植生指数に現れる不自然なパターンが軽減され、空間的に統一された植生モニタリングが可能になりました。

この新手法によって広域にわたる高頻度な植生観測が実現し、環境変化に対する迅速な対応が期待されます。

今後の展望



研究責任者を務める市井和仁教授は、「この手法は日本の静止気象衛星『ひまわり』に限定されず、他国の静止気象衛星でも応用が可能です」と述べています。中国のFY-4A、韓国のGK-2A、アメリカのGOES-16などで同様のデータ取得が可能になり、さらなる展開が期待されています。

環境政策への寄与



得られる高精度な観測データは、森林減少や劣化に伴う温室効果ガスの監視、持続可能な森林管理や環境政策に役立つと考えられています。国際的な炭素監視や参考データの基盤となることが見込まれ、持続可能な環境を実現するための重要なステップとなるでしょう。

この研究成果は2025年11月21日に国際誌『Environmental Research Letters』にオンライン掲載され、今後の研究や実用化が期待されています。気候変動問題への積極的なアプローチが必要とされる中、科学技術の進展が求められています。


画像1

会社情報

会社名
国立大学法人千葉大学
住所
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 
電話番号
043-251-1111

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。