新接合材料がパワー半導体を進化
2024-07-17 16:13:09

高信頼性とコスト削減を実現!新接合材料がパワー半導体市場を革新

高信頼性とコスト削減を実現する新接合材料がパワー半導体市場を革新



脱炭素化社会の実現に向け、電気自動車(EV)の普及が加速する中、その心臓部ともいえる「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体」の性能向上は喫緊の課題です。SiCパワー半導体は電力変換ロスを大幅に低減し、機器の小型化やCO2排出量削減に大きく貢献しますが、200℃を超える高温環境下での動作安定性という課題を抱えていました。

従来、高温動作における安定性確保には、銀ナノ粒子を用いた焼結接合技術が検討されてきましたが、厳しい熱衝撃試験では接合界面に亀裂が発生したり構造が破壊されるなど、課題が残っていました。

この課題を解決するため、大阪大学産業科学研究所フレキシブル3D実装協働研究所の陳伝彤特任准教授らの研究グループと株式会社ダイセルは、銀とシリコンの複合焼結材料の開発に成功しました。

新開発材料の特徴



この新接合材料は、銀とシリコンの接合界面に酸化膜を形成することで、低温界面を確実に形成し、低い熱膨張係数の接合材料を実現しました。これにより、従来材料で問題となっていた界面亀裂の発生や構造破壊が大幅に改善されました。さらに、シリコンの添加量を調整することで熱膨張係数の制御も可能となります。

新開発材料をSiCパワー半導体とDBC基板(Cu回路付きセラミック基板)の接合材料として使用することで、両者の熱膨張ミスマッチを低減させ、厳しい使用環境下でも接合界面の亀裂や構造破壊が起こりにくくなります。その結果、従来材料と比較して優れた接合信頼性を獲得することが可能になりました。

さらに、シリコンの添加によって材料コストの削減も期待できます。

パワー半導体市場へのインパクト



この新開発材料は、SiCパワー半導体の長寿命化と実装構造の信頼性向上、そして接合材料コストの削減に貢献します。これらの効果は、EVをはじめとする次世代パワー半導体モジュールの社会実装を大きく加速させる可能性を秘めています。

未来への期待



ダイセルは、この新開発材料の量産化に向けた取り組みを進めています。将来的には、EVをはじめとする様々な分野で、高性能かつ信頼性の高いパワー半導体が広く普及し、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。


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会社情報

会社名
株式会社ダイセル
住所
大阪市北区大深町3-1グランフロント大阪タワーB
電話番号
06-7639-7171

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