国土交通省も注目!3Dスキャンアプリ「Scanat」で国道維持管理の新時代へ
はじめに
近年、国土交通省は働き方改革を推進しており、建設業界も例外ではありません。その中で、特に注目を集めているのがnat株式会社の3Dスキャンアプリ「Scanat」です。本記事では、このアプリが国道メンテナンス業務にどのように貢献しているのか、国土交通省のモデル事業として取り上げられたその意義を詳しく見ていきます。
背景と課題
国土交通省が実施している「効率的な建設工事の促進事業」では、令和6年4月からの建設業の時間外労働規制適用を踏まえ、労働時間の短縮と業務の効率化が求められています。特に国道の維持管理においては、多岐にわたるメンテナンス作業があり、現場確認や情報共有が欠かせません。しかし、従来の方法では次のような課題が挙げられました。
1.
現場状況の把握にかかる時間:アナログ的な計測や写真撮影には多くの時間がかかり、再測定が必要になることもあります。
2.
移動時間の増大:発注者との打合せために、現場と出張所を何度も往復せざるを得ない現状があります。
これらの課題を解決するため、nat株式会社と寿建設株式会社は「Scanat」を導入し、業務の効率化に取り組みました。
施策と効果
施策の内容
- - Scanatを現場に導入:iPadやiPhoneにアプリをインストールし、現場確認が必要な際には迅速に3Dモデルを作成。これにより、瞬時に現場状況を確認できるようになります。
- - オンラインによる情報共有:作成した3Dモデルを発注者とオンラインで共有。従来の計測方法と比べると、作業時間を大幅に短縮できます。
- - 迅速な計測:特にボックスカルバートの計測では、長さ約70mをわずか5分で撮影できるため、極めて効率的です。
導入効果
この取り組みには多くの効果が期待できます。具体的には、次のような数値で示される導入効果があります。
1.
労働時間の削減:現場計測時間が月36時間から15時間に減少し、削減率は好ましい約58%です。
2.
移動時間の短縮:3Dモデルを使ったオンライン打合せにより、発注者との現場確認が減ります。協力会社の訪問が不要になることで、移動時間も削減されます。
3.
業務の精度向上:3Dデータを活用することで、経験に依存しない均質なデータ取得が可能になり、作業前にモデルを共有することで認識のズレを解消します。
今後の展望
「Scanat」の導入は国道路維持補修工事にとどまらず、トンネルの改修工事やインフラ点検など、他の分野においても応用が期待されています。nat株式会社としては、今後も施工現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を通じて、業務の効率化と品質向上を図っていく方針です。
企業情報
所在地:東京都港区虎ノ門2-2-1住友不動産虎ノ門タワー5F
設立:2019年5月20日
事業内容:Scanatの開発・運営など
公式HP
所在地:福島県福島市飯坂町平野字東地蔵田8-1
設立:1966年3月17日
事業内容:トンネル専門工事、土木工事等
公式HP
このように、国土交通省がモデル事業として認めた「Scanat」は、建設業界の未来に向けて新たな可能性を広げています。