デンソーの子会社NSITEXEが新たな安全基準を達成
最近、デンソーの子会社であるNSITEXEが開発したプロセッサDR1000Cが、世界で初めてRISC-V Vector ExtensionプロセッサとしてASIL Dの機能安全認証を受けました。この成果は、自動運転技術や車両制御に伴う安全基準がますます重要視される中、非常に意義深いものです。
DR1000Cの特長
DR1000Cプロセッサは、特にセーフティクリティカルシステム向けに設計されており、高負荷の演算処理をオフロードするための理想的な並列プロセッサIPとして位置付けられています。最大16個のハードウェアスレッドを有することにより、ベクトルプロセッサの効率的な利用を可能にし、非常に優れた電力性能を実現しています。
このプロセッサは、自動車制御のみならず、FA(ファクトリーオートメーション)やセンサー処理など、多様な組込みアプリケーションにも活用可能です。特筆すべきは、メモリの誤り訂正機能やデュアルコアロックステップ機構、エラーマネジメントユニットが統合されており、特別な外部機構を追加することなく、安全基準であるASIL Dを達成できる点です。
機能安全の実現
DR1000Cは、高性能のベクトルプロセッサ部を核にして、セーフティクリティカルな要求に応じてロックステップ診断とソフトウェア診断を切り替えることが可能で、多様なユースケースに対応できる汎用性の高い仕様を持っています。この機能により、ASIL DとASIL Cの基準を同時に満たすことができます。
NSITEXEは、同じくASIL D準拠で開発されたDR1000C-SDKを提供しており、これを使用することで開発者は安全で正確なスレッド制御やメモリ保護を行うことが可能です。これにより、開発期間の短縮が実現し、アプリケーションの開発に専念できる環境が整っています。
安全性の確保
さらにDR1000C-HSKでは、故障モード影響診断解析(FMEDA)や安全性に関する各種ドキュメントも提供されるため、車両制御マイコンの機能的な安全解析が迅速に行えます。また、ISO 9001に基づく品質管理が行われており、厳格な車載専用の品質基準にも適合しています。
SGSジャパンの松尾様は、「DR1000CがASIL D Ready認証を取得したことは、自動運転技術の成長を支える重要な一歩」と語っています。機能安全への対応が急務の中、このプロセッサは、IPインテグレータの対応をサポートし、自動車システム全体の安全性向上にも寄与するでしょう。
NSITEXEの今後
NSITEXEのCTO 杉本氏は、「汎用性、効率、安全性を三本柱に据えた開発を進めてきた」と述べています。DR1000Cは、車載マイコンにおけるセーフティクリティカルなニーズに応える技術革新であり、将来的には医療機器やFAなど、多くの組込みシステムに対する信頼性を高めることが期待されています。
NSITEXEは、革新的なプロセッサ技術を基に、人々の生活を豊かにする新たな革新を推進していく意欲を示しています。これからの自動車やモビリティ業界の発展に大いに寄与するでしょう。
詳細やお問い合わせは、
NSITEXEの公式サイトをご覧ください。