Hacobuと一橋大学による共同研究の意義
株式会社Hacobuは、一橋大学と連携し、トラックドライバーの労働時間に関する実証分析を行いました。この研究は、動態管理サービス「MOVO Fleet」の運行データをもとにしており、2025年に開催された労働政策研究会議で成果が発表されました。
1. 日本における物流と労働時間の現状
日本の物流システムにおいて、トラックドライバーの長時間労働は深刻な問題です。2024年4月に施行された時間外労働上限規制は、ドライバーのワークライフバランスを改善することを目的としていますが、それと同時に物流クライシスの懸念も浮上しています。過去の調査では、多くが年1回のアンケート調査にとどまり、日々の運行実態を把握するのが難しい状況でした。
こうした課題を解決するため、一橋大学からHacobuへの研究協力の申し出がありました。Hacobuの「Data-Driven Logistics®」という理念に基づいて、実際の運行データを解析することにしました。
2. 研究の概要と手法
研究の期間
- - 2022年から2024年までの運行データを対象
データの種類
- - 「MOVO Fleet」に記録された約20万件の運行データ
解析対象
使用した解析手法
- - 固定効果モデルを用いて、トラック運行の変化を検証
研究の着眼点
- - 労働時間の推移
- - 長時間運行の発生割合
- - 規制前後の時間変化
3. 研究チーム
- - 【一橋大学】 ソーシャル・データサイエンス研究科の今井 晋 教授と小野田 祐 氏、【労働政策研究・研修機構】の小松 恭子 研究員、【Hacobu】の執行役員 CTO 戸井田 裕貴がメンバーです。
4. 研究成果
この研究から得られた主な知見は以下の3点です。
作業所の改善効果
- - 長時間運行を行っていた事業所では、運行時間の削減が顕著でした。2023年には最大4時間、2024年には最大1時間の運行時間が削減されたことが分かりました。
規制施行前の改善傾向
- - 2024年の規制施行の6か月前から運行時間の削減が進んでおり、事業者は猶予期間を活用して準備していた可能性があります。
労働時間の平準化
- - ドライバー単位での分析では、特に長時間運行を行っていたドライバーが、労働時間の減少傾向にあったことが確認されました。
5. 専門家のコメント
一橋大学の今井教授は、「本研究はトラックドライバーの労働条件の改善につながる政策の重要性を浮き彫りにしました。一般のデータが政策評価の基盤となることが期待されます」と述べています。また、Hacobuの戸井田CTOは、「持続可能な物流の実現には、多様なデータの収集とその活用が不可欠です」と強調しました。
6. 今後の展望
Hacobuは今後も学術機関や行政と連携し、継続的にデータを活用した研究を進めていく方針です。持続可能な物流を実現するための取り組みが、今後どのように展開されるのか注目されます。これからも「MOVO」シリーズを通じて、物流データを活用した社会課題の解決に貢献していきます。
動態管理サービス「MOVO Fleet」
物流現場での位置情報データの取得と分析を行う「MOVO Fleet」は、様々な輸配送の課題を解決するための重要なツールです。リアルタイムのデータをもとに、トラックドライバーの業務をサポートし、事業者の負担軽減に寄与しています。より効果的なサービスに向けて、今後の展開が期待されます。