銅の安定供給に向けた新たな取り組み
2025年12月5日、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は、チリ共和国の国営企業、チリ銅公社(CODELCO)と協力協定を締結しました。この協定の目的は、銅原料中の不純物を低減する技術の実用化に向けた共同研究にあります。現代社会において銅は脱炭素化や情報通信の基盤となる金属であり、その需要は今後も増加すると見込まれています。
しかし、銅鉱山からの供給には新たな課題が浮上しています。最近の報告によると、銅鉱石中にヒ素等の不純物が増えているため、これらを除去する技術が急務とされています。JOGMECは長年にわたり、銅原料中の不純物低減技術の開発に取り組んできました。この技術は、ヒ素を含む銅鉱物とヒ素の少ない銅鉱物を選別する方法に基づいています。
新技術の可能性
JOGMECが開発した技術は、浮遊選鉱において用いる薬剤に関するものです。共同研究には国立大学法人宮崎大学や化学メーカーも参加し、その知見を融合させてきました。231
この新しい技術の実用化が進めば、現在扱いが難しいとされるヒ素を多く含む銅精鉱も、より効率的に処理できるようになります。これにより、低コストで前処理の不要なクリーンな銅精鉱の取得が期待されています。
実際にCODELCOからの銅精鉱サンプルを基にした試験でも、JOGMECにその成果が認められたことで、本技術の導入に向けた研究が進められることとなりました。将来的には、未開発の銅鉱床の開発も現実味を帯びることで、全体の銅資源の供給が安定される可能性があります。
CODELCOの役割
CODELCOは、チリ国内の銅鉱山の開発及び銅地金の生産を行っている世界最大の銅生産企業です。同社が手がけるチュキカマタ鉱山などが特に有名です。今回の協力協定は、両者が持つ専門知識を結集し、様々な問題を解決するための重要なステップと言えるでしょう。
浮遊選鉱技術の重要性
浮遊選鉱は鉱山で採掘された鉱石から、特定の鉱物を選別するプロセスです。この技術が進むことで、銅精鉱の質を高め、よりクリーンな資源の供給が可能になります。これまでの従来技術では、ヒ素を含む鉱物とそうでないものを分離するのは困難でしたが、新たな研究の成果はこの状況を大きく変える可能性を秘めています。
まとめ
JOGMECとCODELCOの連携による銅不純物低減技術の革新は、銅資源の安定供給への道を開くことでしょう。産官学の協力により、より持続可能な社会を実現するための一助となることが期待されます。今後の進展から目が離せません。