現役の外科医である中山祐次郎が手がける医療エンターテインメント、小説『救いたくない命俺たちは神じゃない2』が9月30日より発売されました。本作は、彼のデビュー作『泣くな研修医』で不動の人気を誇るシリーズの続編として、多くの期待を集めています。
前作では中堅外科医たちが直面するさまざまな危機と成長が描かれましたが、今作ではそのテーマがさらに深化し、「誰でも患者になる」という新たな視点から物語が展開されます。主人公、剣崎啓介は15年のキャリアを持つ外科医であり、彼の親友である松島直武と共に、さまざまな患者と向き合いながら切磋琢磨していく姿が描かれています。
剣崎は、特に大腸癌に関する深い知識を持ち、技術や経験も豊富です。しかし、彼の生真面目な性格ゆえに、精神的な負担を抱えることもしばしば。その彼と対照的な松島は、明るく社交的な性格を持ち、海外での経験を通じて高い危機対応能力を培ってきた医師です。ふたりのキャラクターの違いは、物語に奥行きを与える重要な要素となっています。
今作の中には、「救いたくない命」というタイトルの表題作をはじめ、全6篇の短編が収められています。表題作では、無差別殺人犯を救命すべきかどうかという倫理的なジレンマがテーマになっており、その緊迫した状況下で剣崎は医師としての使命感と個人の感情の狭間でもがきます。この重たいテーマは、読む者に深い思索を促す内容となっています。
また、他の収録作品でも、身近な人を救うことの難しさや、医師すらも時に患者になるという普遍的なテーマが描かれ、剣崎と松島の成長が彼らの医師としての姿勢や人間性に息づいています。たとえば、末期癌を宣告された恩師との再会や、自暴自棄になった青年との関わりなど、多種多様な人間ドラマが展開され、医療の現場が抱える複雑さと美しさが浮き彫りになります。
さらに、解説にはドラマプロデューサーの植田博樹氏が参加しています。彼は、医療をテーマにした作品の魅力について論じており、シリーズのさらなる理解を深める要素として読者には好評です。
ファンにとっては見逃せないこの新作は、普通の職業を超えた医師たちの日常と命の重さを映し出す、まさに医学エンターテインメントの傑作です。9月30日の発売を迎え、今後の展開にも注目が集まっています。