東京のレジリエンス評価
2023-11-16 11:00:03

日本都市・東京が世界のレジリエンス指標で8位にランクインした理由とは?

日本の都市、東京のレジリエンス評価



2023年に発表された『都市のレジリエンス指標2023』において、日本の東京が25都市中8位に位置づけられました。この評価は、都市における回復力や強靭性を測る重要な指標となっています。報告書によると、現代の都市は気候変動によるリスクに対し、より効果的な対策を講じる必要性が増していることが明らかになりました。東京はその中で、公共交通の整備や緊急時のスムーズな対応、環境への配慮など多くの要素で評価されました。

東京の強み



東京の公共交通機関は非常に発達しており、都民の日常的な移動手段として機能しています。この点が評価され、余裕を持って緊急時に避難できる体制が整っていることも極めて重要です。また、都内の緊急対応時間がわずか10分以内であることは、災害時の迅速な対応を可能にする大きな要因です。

特に、暴風雨や洪水といった気象リスクへの備えとして、都は最新の技術を活用しています。早期警報システム(EWS)が導入され、災害発生前に重要な情報を迅速に市民へ伝達するシステムが整備されています。また、Jアラートやドローンを使用した情報伝達が実施されており、迅速な災害救援が可能です。加えて、河川には太陽電池式のスマートセンサーが設置され、常に洪水の危険性を監視しています。

過去の教訓と文化



東京の過去の災害対応の実績も評価要因として挙げられます。特に2016年の熊本地震において、被害を迅速に評価し、即座に行動に移した例が高く評価されました。日本気象庁が持つ人工知能を活用した地震データ分析も、将来のリスクをより明確にするための重要な取り組みとして位置づけられます。

日本の災害に対する備えの文化は、単に技術だけでなく、地域社会全体の協力と連携によって支えられています。慶應義塾大学の教授は、過去の災害への経験が、災害に対する抗力を育んできたと述べています。

残された課題



一方で、東京にもいくつかの課題が残されています。この評価において、デジタル・シティやサイバーセキュリティの分野では他の先進都市と比較して不十分であることが示されています。特にドバイやロサンゼルスなど、成功を収めている都市に比べて、ネットワークセキュリティや攻撃検知への対応が遅れていることが懸念されています。この点については、今後の取り組みが期待されます。

世界的な視点



国際的には、都市レジリエンスの評価においてニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンがトップ3に立つ一方、新興国の都市では気候変動による影響に対する対策が不十分であることも明らかになりました。特にアジアの都市、バンコクやジャカルタは洪水リスクにさらされており、さらに高温の影響を受ける社会的弱者への対策が急務です。

この調査結果は、高所得国の都市であっても災害リスクに対して脆弱であることを示しており、各都市はレジリエンス戦略の強化に向けて社会全体で取り組む必要があります。『都市のレジリエンス指標2023』は、各都市がどの分野において強化が急務であるかを示す重要な指標となることでしょう。東京はその中で、さらなる進展を遂げることが期待されています。

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