環境に配慮した美術館の新たな挑戦
公益財団法人石橋財団が運営する「石橋財団アートリサーチセンター」と、アーティゾン美術館の拠点である「ミュージアムタワー京橋」が、世界的に認められた環境性能認証のLEED®「Gold」を取得したことが発表されました。
アートリサーチセンターの概要
「石橋財団アートリサーチセンター」(ARC)は、東京都町田市に位置し、アーティゾン美術館の研究施設として2015年に設立されました。DMAの基本的な役割は、美術作品の調査研究や保存修復、資料の集積・保管です。さらに、2017年からは学校団体の受入れを開始し、一般の方々向けにワークショップや講義なども開催しています。
2025年3月には増築工事が完了し、さらなる機能強化が図られ、8月26日には米国グリーンビルディング協会が運営するLEEDの「Gold」認証を取得しました。これにより、国内で単独の美術館関連施設として初めてのLEED認証を得ることとなり、アートの研究が環境保護と両立する新たなモデルとなることが期待されています。
LEEDの認証は、建物の設計、施工、運用に関する総合的な評価を行い、省エネや資源循環、室内環境の改善などの要素に基づいて付与されます。評価基準をクリアすることで「Gold」などの階級が決定されるこの制度は、世界の185カ国以上に広がりを見せており、日本でも一般社団法人グリーンビルディングジャパンがその普及を支援しています。
ミュージアムタワー京橋の役割
一方、「ミュージアムタワー京橋」は、東京都中央区に位置し、株式会社永坂産業と公益財団法人石橋財団が共同で所有する複合施設です。2019年に完成したこのタワーでは、アーティゾン美術館が低層部を使用し、高層部はオフィスとして利用されています。2025年10月15日に、「LEED O+M: Existing Buildings (v4.1)」においてもまた「Gold」を認証され、持続可能性を重視した運営が評価された形です。
アーティゾン美術館の概念
アーティゾン美術館は1952年に開館したブリヂストン美術館を前身とし、2020年からその名前と建物を新たにして運営されています。「ARTIZON」という名には、アートの新たな地平を広げるという理念が込められ、約3,000点のコレクションを大切に管理・展示しています。特に古代から現代に至る幅広い芸術を展示しており、最新の環境技術を導入した空間で訪れる人々に多彩なアート体験を提供しています。
環境に優しい未来への一歩
これらの施設がLEED Gold認証を受けたことは、美術や文化活動と持続可能な環境施策とを融合させる新しい取り組みの象徴です。二つの施設はその役割を通じて、観客に価値ある体験を提供し、環境に優しい未来を築くためのモデルケースとなることでしょう。これからの活動にますますの期待が寄せられています。
今後も石橋財団アートリサーチセンターとアーティゾン美術館が行うさまざまな活動に注目し、持続可能な文化の発展を見守りたいものです。他の美術館や文化施設がこの取り組みをどう受け継いでいくのか、新しい形のアートと環境の共存を期待したいところです。