現代社会の「居場所」とは?カンマプレイスが示す新たな可能性
はじめに
コロナ禍を経て私たちの生活様式は大きく変わりました。この変化は、特に私たちが「居場所」と感じる場所に対する価値観にも影響を与えています。最近、株式会社SIGNINGが発表した調査レポート『iBASHO REPORT Vol.2〜なんだかついつい居たくなる場所〜』は、そんな居場所の変遷とカンマプレイスの重要性を示しています。そこで、本記事では、同レポートの内容をもとに、現代における居場所の在り方やそのデザインについて考察します。
1. カンマプレイスとは何か
カンマプレイスとは、目的と目的の間の「無目的な場所」を指します。文章でいうと読点や楽譜でいう休符のような存在で、ただ居るだけで、心身がリフレッシュされる効果があります。この無目的な時間が、実は現代人のウェルビーイングに大きく寄与するというのです。
2. 調査の背景と目的
SIGNINGと読売広告社、環境計画研究所が共同でおこなったこの調査は、コロナ禍以降の居場所の必要性に着目し、全国の20~69歳の男女2,700名を対象に実施されました。調査の結果、居場所の重要性は増しているものの、多くの人が無目的な場所を見つけるのに苦労していることが明らかになりました。75.8%の人が無目的な場所を探すのが難しいと感じているとのことです。
3. 居場所の価値が高まる理由
コロナ禍以前は、家、職場、サードプレイスが居場所を構成していました。しかしリモートワークの普及やDXの進展により、これらの境界が曖昧になり、居場所の定義が拡大しました。このような背景から、ただ居ることができる場所の存在価値が高まったのです。
4. 居場所玄人の実態
この調査では「居場所玄人」と呼ばれる人々の存在も注目されています。居場所玄人たちは、単なるリラックスや不安を解消するためだけでなく、自分自身を変化させるための時間にカンマプレイスを利用しています。彼らの行動を観察することで、現代に求められる居場所の質向上につながるヒントが得られるのです。
5. カンマプレイスの質を高めるための提言
レポートでは、カンマプレイスとして必要な「質を上げるための5つのポイント」が提案されています。具体的には、利用者同士のコミュニケーション促進、目的に縛られない自由な空間作り、イベント開催などが挙げられています。
6. 講評と今後の展望
このレポートを通じて、私たちは単なる「居る場所」ではなく、「いることに価値がある場所」が求められていることに気づかされます。これからは、日常の中にある無目的な時間を大切にし、ウェルビーイングを追求する新たな試みが必要です。また、居場所のデザインに関する新しい視点が企業や社会に広がることで、より豊かな生活環境の実現にもつながるでしょう。
結論
本レポート『iBASHO REPORT Vol.2』が示すカンマプレイスの価値は、現代社会においてますます重要性を増しています。今後の居場所づくりでは、無目的な時間を生かす設計や空間づくりが鍵となるでしょう。私たちも、日々の生活の中で「なにげない」時間を意識的に大切にしていきたいものです。