再生可能エネルギーの未来
2024-09-24 15:41:32
再生可能エネルギー投資が急増する中での2030年目標達成の難しさとは
EYが発表した最新の調査「EY再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)第63号」では、昨年、クリーンエネルギーへの投資が1兆8,000億米ドルに達したものの、2030年までに必要な再生可能エネルギー容量を3倍にする目標にはまだ遠いという現状が報告されています。この調査によれば、再生可能エネルギーへの投資は急増しているものの、系統の制約や高い資本コストが進捗を妨げる要因となっています。
特に注目すべきは、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の役割です。BESSは系統の不安定性を緩和し、クリーンエネルギーの普及を促進するために非常に重要です。EYのグローバル再生可能エネルギーリーダー、Arnaud de Giovanni氏は、BESSのスケールアップが系統の安定化を促進し、分散したエネルギー資源をグリッドに統合する助けになると説明しています。
さらに、新たに発表されたBESSのランキングでは、米国、中国、英国が最も魅力的な市場として浮上しました。特に米国では、インフレ抑制法に基づく税額控除が後押しし、最も有望な投資先として評価されています。これに続いて、中国は政府の支援やBESSコストの削減計画で2位、そして英国は洗練されたエネルギー市場設計を持ち3位にランクインしました。2023年から2030年の間で、BESSの導入が4倍に増えると予測されています。
EYのRECAI編集長、Ben Warren氏は、BESSへの投資はリスクを伴うものの、その市場の複雑さを乗り越えれば新たなビジネス機会が生まれると述べています。投資家は地域性や市場の特性を理解し、長期的なコミットメントが求められるという点に留意する必要があります。
今回のRECAIでは、米国、中国、ドイツが再生可能エネルギー国別魅力指数の上位に位置しており、これらの国々は政策の支援によって投資家からの高い関心を集めています。一方、スペインは系統の制約からトップ10から脱落し、カナダと日本は洋上風力発電の進展によりトップ10に復帰しました。
このような状況の中で、デンマークやギリシャ、チリなどの小規模市場でも新たな投資機会が生まれており、野心的なエネルギー転換計画が進められています。今後、再生可能エネルギーの普及は進むと期待されていますが、まだ多くの課題が残っています。
EYのアソシエートパートナー、内海直人氏は、国内でもBESSを含む新たな技術の導入が求められ、特に需要調整市場の開設が今後の市場活性化につながると語っています。再生可能エネルギーと蓄電池技術を組み合わせることで、長期的な収益を狙うビジネスモデルの可能性は広がっていると指摘しました。
この情報を踏まえ、投資家は再生可能エネルギーの未来に向けた戦略的な投資を進めていく必要があるでしょう。2030年の目標達成に向けては、引き続き政策の支援と技術の進歩が重要なカギを握っています。
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