妖怪「米隠し」が2024年の世相を象徴する上での選出背景とは
香川県・小豆島にある妖怪美術館が主催した「今年の妖怪2024」の審査で、見事妖怪「米隠し」が選ばれました。この選考は、今年の世相を反映する妖怪を広く募集した結果、3,575件の応募の中から選び抜かれたものです。12月21日には、この妖怪の絵を手掛けた妖怪画家であり、同美術館の館長でもある柳生忠平が西光寺でその作品を発表しました。
選定の理由
2024年の夏、日本各地で米が品不足になるという事件が起きました。これは「令和の米騒動」とも称され、過去の類似事件、特に平成5年の冷夏を思い起こさせます。要因としては、長年にわたる減反政策による生産量の減少、異常気象による米作りの困難さ、そして観光による米消費増などが挙げられます。このような状況の中で、「米はあるのに誰かが隠している」という噂が広がると、人々の心に妖怪の存在を思い起こさせました。実際、妖怪美術館に寄せられた応募の中には、米騒動をテーマにした妖怪が多数ありました。こうした社会的背景が、「米隠し」という妖怪の選出を支持したのです。
その他のノミネート妖怪
今回の選考には、他にも「インプレゾンビ」や「ブリンバンバン小僧」がノミネートされています。
インプレゾンビ
この妖怪は、SNSでの「インプレッション」稼ぎに関係しています。例えば、関連性のない投稿であっても、多くの人に見られることを目的にしていたことを象徴化した存在です。
ブリンバンバン小僧
ヒップホップユニットCreepyNutsが手掛けたアニメ『マッシュル-MASHLE-』のオープニング曲の振付を踊る妖怪です。この曲はYouTubeやTikTokでブームとなり、子供たちの間で広まりました。
妖怪の意義
日本文化に古くから根付く妖怪は、不可解な事象や不条理を説明する手段として機能してきました。「米隠し」という妖怪の存在は、令和の米騒動に対する人々のモヤモヤを清算する役割を果たすかもしれません。今後の社会においても、妖怪が持つ知恵や寛容さが重要な武器となるのではないでしょうか。
妖怪万博2025
また、妖怪美術館では、2025年2月2日に小豆島で「妖怪万博2025」が開催されます。このイベントでは、妖怪文化を愛する人々が集まり、妖怪テーマの創作物や研究を発表します。総合プロデューサーは柳生忠平が務め、妖怪を通じた地域振興を目的としています。
この企画を通じて、多くの人に妖怪文化が知られることを期待しています。昔からの知恵や多様性を尊重する妖怪文化が、現代社会にも影響を与えることを願っています。