新技術「無コーティング代かき同時播種」の概要
日本の寒冷地、特に東北地方の稲作において重要な進展がありました。「無コーティング代かき同時播種技術」が日本作物学会から技術賞を受賞し、その価値が広く認識されています。この技術は、従来必要だった種子コーティングを排除した新しい直播の方法で、代かきと同時に播種を行うことができます。これにより、農家は資材コストや人件費を大幅に削減し、作業時間も短縮することが可能になりました。
この技術が商業化されたのは、2018年からで、石井製作所によって「無コーティング代かき同時播種機」として販売されています。特に特徴的なのは、従来の約0.5cmの極浅い土中に種子を播くことで、鉄コーティングと同等の苗立率を実現する点です。さらに、浮き苗や鳥害を軽減する効果もあるため、多くの農家にとって非常に有益な技術とされています。
技術の利点
1. 省力化の実現
この機械は、仕上げの代かきと同時に播種が行えるため、労力を大幅に軽減します。特に1ヘクタールに近い圃場であれば、播種途中の種子補給がほぼ不要となり、連続した作業が可能です。これは、特に田植機が沈むような水田でも効果的で、圃場整備が未完成な中山間地域でもそのパフォーマンスを発揮します。
2. 雑草制御にも有利
この播種法の一つのメリットは、播種と雑草発生が同時に行われるため、雑草の制御にも有利です。また、実際に秋田県での実証試験では、耐倒伏性多収品種「萌えみのり」を使用した無コーティング直播が、移植栽培の「あきたこまち」を上回る収量を記録しました。これにより、収穫時の利益が向上することが確認されています。
技術開発の背景
日本国内の稲作は、高齢化や水田作経営体の大規模化により、新しい技術の導入が求められています。特に東北・北陸地域では湛水直播の普及が重要視されていますが、これまで種子コーティングは必須と考えられていました。このコーティングにはコストと技術が伴い、時には苗立ちに失敗する原因にもなっていました。
そこで本研究グループは、湛水直播の普及をさらに促進し、農業の省力化を実現するために無コーティング播種技術の開発に着手したのです。
今後の展開
今後は、寒冷地を中心にこの技術の普及を進め、多くの農家の省力化や省人化を支援することが目標です。これにより、持続可能な農業の確立に寄与したいと考えています。
ポイントとして、今後の技術普及には現地での実証試験が引き続き重要です。農業関係者に向けた研修やマニュアルも提供されており、今後ますます注目が集まることでしょう。
付属資料
会社概要
この技術を開発した石井製作所は、1926年に設立され、農業用機械の開発・製造・販売を行っています。特に農業の人手不足や規模拡大に向けた省力化と省人化に取り組んでいます。石井製作所の公式ウェブサイトやSNSもチェックして、最新情報をフォローしてみてください。