乳がん進行の新研究
2025-07-14 15:23:21

乳がん進行のメカニズムを解明する新たな発見が期待される

最近、順天堂大学の研究チームが行った研究で、乳がんの悪性化におけるがん関連線維芽細胞(CAFs)の役割が新たに明らかにされました。この研究は、特に筋線維芽細胞様CAFs(myCAFs)と呼ばれる細胞に焦点を当てており、これらががん細胞の増殖や転移にいかに寄与するかを探求しています。研究の結果、myCAFs内で発現するエンドグリンというタンパク質が、乳がんの進行において重要な役割を果たすことが確認されました。

具体的には、232例のヒト乳がん患者の組織サンプルを分析したところ、CAFsにおけるエンドグリンの発現が高い患者ほど予後が悪い傾向にあることが明らかになりました。これは、エンドグリンがmyCAFs内でTGF-βシグナル伝達経路を活性化し、がんの増殖や転移を助長することを示唆しています。

さらに、エンドグリンの発現を抑えることにより、myCAFsのがん増殖能や浸潤能、そして肺への転移を抑制できることも確認されました。これにより、エンドグリンはがんの進行において中心的な因子であり、そのターゲティングが治療の新しいアプローチになる可能性があると言えます。

研究チームはまた、myCAFsが生成するTGF-β1が、傍分泌様式でがん細胞に働きかけ、がん細胞の表現型を変えることで浸潤・転移を促進するメカニズムも解明しました。これは、エンドグリンがmyCAFsのがん促進機能を媒介する主要な因子であることを示しています。

この研究の成果は、乳がん治療に新たな選択肢を提供する可能性を秘めており、今後の臨床応用に期待が高まります。研究チームは、エンドグリンがどのようにmyCAFsにおいて発現するか、さらには他の腫瘍関連因子についての研究も続ける予定です。この新たな発見が、今後の乳がん治療に革新をもたらすことを期待しています。

私たちはCAFsというがん環境を支える細胞を通じて、従来のがん治療アプローチとは異なる視点からの治療戦略を模索しています。本研究が、そのような新しい治療法の開発につながることを願っています。

最後に、研究成果は2025年7月11日付でMolecular Oncology誌のオンライン版に発表されており、乳がん治療の未来に向けた重要な一歩となることでしょう。


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