IoT機器開発を加速させるADLINKとアットマークテクノの新ソリューション
近年、IoT(Internet of Things)の実用化が進む中で、開発のスピードとセキュリティがますます重要視されています。このような背景のもと、株式会社アットマークテクノが、ADLINK Technology Inc.のSoM(System on Module)に自社製のLinux OS「Armadillo Base OS」を組み合わせた新しいソリューションの提供を開始しました。これにより、IoT機器の設計から製造までのプロセスを大幅に効率化し、セキュリティを強化することが可能になります。
SoMの活用による効率化とは?
SoMは、プロセッサやメモリ、周辺機器インターフェースなどを1つのモジュール内に統合した基板です。これによって、IoT機器の製造を行う企業は、回路基板を基にした設計の負担が軽減されます。また、高性能なプロセッサと各種インターフェースが組み込まれているため、柔軟なカスタマイズが可能となります。
ADLINKが提供するSoM「LEC-IMX8MP」は、NXPセミコンダクターズ製のSoC「i.MX 8M Plus」を搭載し、優れたパフォーマンスを発揮します。このSoMを利用することで、製品開発におけるコストや時間の削減が実現され、企業は本来の業務に専念することができるでしょう。
セキュリティを強化したArmadillo Base OS
さらに、アットマークテクノが提供するArmadillo Base OS(ABOS)は、IoTデバイスを長期間にわたって運用するために設計されたLinuxベースのOSです。ABOSは、セキュリティ機能が特に強化されており、OTG(Over The Air update)機能が組み込まれているため、常に最新の状態を保つことが可能です。
また、ABOSはJC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)に対応しており、IoT機器のサイバーセキュリティ基準を満たすことができます。これは、IoT機器メーカーにとって、法的要件をクリアしながら安全性を確保できる大きな利点です。
クラウドとの連携で運用管理をさらに強化
ABOSは、IoTデバイス運用管理のためのクラウドサービス「Armadillo Twin」にも対応しています。このサービスを利用することで、遠隔からデバイスの監視や操作が可能となります。これにより、運用現場に赴く必要がなくなり、長期間にわたるデバイスの安定運用が実現されます。
今後の展望
ADLINKとアットマークテクノは今後、ABOSに対応したSoMのラインアップを拡充する方針を示しています。また、今後策定されるJC-STAR 2以上の要件やCyber Resilience Act(CRA)に対応するため、ABOSの機能強化も予定されています。
次回この新ソリューションは、2025年11月19日から21日に開催される「EdgeTech+ 2025」で展示される予定です。製品開発者たちにとって、今後のIoT市場における大きなイノベーションとなることでしょう。
これからもADLINKとアットマークテクノの動向に注目していきたいですね。