非正規雇用待遇改善、進むも課題も。基本給改定は過去最高も企業規模で差、スポットワーカーは給与上昇傾向
株式会社マイナビが発表した「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2024年)」によると、正社員と非正規社員の待遇差是正に向けた動きが加速していることが明らかになりました。
調査では、45.7%の企業が基本給を改定済みと回答し、2021年の調査開始以来、過去最高の割合となりました。これは、最低賃金の引き上げや「同一労働・同一賃金」への対応が進んでいることを反映していると考えられます。
しかし、企業規模別にみると、従業員300名以上の大企業では55.5%が基本給を改定済みであるのに対し、中小企業では41.5%にとどまりました。大企業と中小企業の間には、待遇改善の進捗に大きな差が見られることがわかります。
また、調査では、直近半年間でアルバイト時給を上げた企業は約6割という結果も出ています。業種別では、人材確保が特に難しい建設・土木・設備工事では、全体平均の1.7倍以上もの時給アップが実施されました。これは、2024年問題による残業時間の規制強化が影響していると考えられます。
さらに、注目すべきはスポットワーカーの動向です。調査によると、直近半年でスポットワーカーを募集した企業は65.1%、そのうち40.9%がスポットワーカーの給与を上げたという結果が出ました。平均時給の引き上げ額は、アルバイト雇用よりも35.5円高く、スポットワーカーの採用基準も上昇傾向にあります。これは、質の高い人材をピンポイントの時間帯に獲得するため、企業が積極的に待遇改善を行っていることを示唆しています。
今回の調査結果から、非正規雇用の待遇改善は進んでいるものの、大企業と中小企業の間や、雇用形態間の格差は依然として存在することが明らかになりました。企業は、多様化する働き方に対応し、すべての従業員に対して公平な待遇を確保していくための取り組みを強化していく必要があります。
今後の課題
今回の調査結果から、いくつかの課題が見えてきます。まず、大企業と中小企業の間の待遇改善の進捗に差があるという点です。中小企業は、人材確保や経営状況の厳しさから、大企業と比べて待遇改善が遅れがちである可能性があります。政府は、中小企業に対する支援を強化することで、待遇改善を促進していく必要があります。
また、スポットワーカーの待遇改善が進む一方で、アルバイトやパートなど、他の非正規雇用形態の待遇改善が遅れている可能性もあります。企業は、すべての非正規雇用形態に対して、公平な待遇を確保するための取り組みを強化していく必要があります。
さらに、非正規雇用の待遇改善は、労働者の意識や働き方にも影響を与えます。労働者は、自分の仕事内容や能力に見合った待遇を求めるようになり、働き方に対する意識も変化していくでしょう。企業は、労働者の意識の変化に対応し、魅力的な働き方を提供していく必要があります。
非正規雇用は、労働市場において重要な役割を果たしており、今後もその数は増加していくと考えられます。企業は、非正規雇用を含むすべての従業員に対して、働きがいのある環境を提供することで、持続可能な社会を実現していく必要があります。