日本企業のコンプライアンスに関する調査結果
LRNが初めて発表した「2023年倫理コンプライアンスプログラムの有効性に関する報告書」は、今の時代における企業の倫理的な取り組みの重要性を強調しています。特に、全世界で影響を及ぼす経済的・地政学的な逆風の中、企業はその経営に対し倫理やコンプライアンスについてより一層の配慮が求められています。この調査によると、回答者の半数以上が、経営上の意思決定を行う際に倫理性を重視しており、その点で経営幹部について高く評価しています。驚くべきことに、84%の回答者は、従業員に「正しい行い」をさせるためには明文化された規則よりも価値観に頼っているとのことです。
日本におけるコンプライアンスの現状
調査対象の中で、1,800件の回答のうち日本のデータは約11%を占めています。日本の企業倫理プログラムはグローバル平均と比較して、有効性や革新性、トレーニングのベストプラクティスにおいて著しく低い結果が出ており、特に「効果的でない」とされたプログラムは64%という数値です。これは、世界平均の40%を大きく上回っており、日本の倫理・コンプライアンスプログラムが抱える深刻な課題を物語っています。今後、社内システムの見直しやトレーニング内容の改善が急務とされる中、特に効果的なプラットフォームの構築や特定のリスクに合わせたカスタムコンテンツが必要であると指摘されています。
研修分野の優先事項
研修内容の優先事項として、グローバルでは「ITセキュリティ」、「ESG」、「データ保護」が挙げられていますが、日本では「DEI(多様性、公平性、包括性)」、「ESG」、「ITセキュリティ」が主な研修分野として選ばれており、従業員の倫理意識を高める取り組みが必要とされています。LRNの高官であるタイ・フランシスMBEは、日本には倫理・コンプライアンスプログラムを強化する大きな機会があると述べており、特に取締役会や役員がその重要性を認識することが求められています。
グローバルな課題と改善の必要性
今年の調査結果は、複雑な状況下での企業の悩みが浮き彫りになっています。 76%の回答者が内部システムの不十分さが障害となっていると感じており、73%が人手不足、同様に73%は予算制約に直面していると報告されています。さらに、60%は取締役会が不祥事を効果的に監視していると認識しており、44%は不適切な行為があった上級管理者を懲戒解雇したと回答しています。これらの結果は、倫理やコンプライアンスが実際のビジネス戦略に影響を与えていることを示しています。
今後の展望
LRNのCEOケビン・マイケルセンは、企業文化の倫理的側面が業績と密接に関連することを指摘し、困難な状況を生き延びるために倫理への取組みが不可欠であると強調しています。データ指標の収集と分析が運営において重要視されているものの、実際にその能力を向上させた企業はわずか20%に過ぎないのが現実です。これらの課題を解決するためには、日本の企業がその実行力を高め、持続可能な成長を目指す必要があります。
LRNでは、倫理的な文化を育むための知識と支援を提供し、多くの企業がそのサービスを活用しています。過去に1,800件以上の回答をもとにした調査結果を踏まえ、日本の企業が直面する課題とその改善策を今後いかにして進めていくかが注目されます。事実、倫理とコンプライアンスに対する意識が高まることで、企業文化全体に影響を及ぼす可能性があるため、今後の取り組みに期待が寄せられています。
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