PATENTIXとクオルテックが基本合意、二酸化ゲルマニウムの供給へ
2023年8月1日、PATENTIX株式会社と株式会社クオルテックは、次世代半導体として注目される二酸化ゲルマニウム(GeO₂)の有償サンプル出荷に向けた基本合意を締結しました。この合意は、滋賀県立テクノファクトリーという共同研究開発の拠点にて実施され、PATENTIXがGeO₂の研究開発と製造を、クオルテックが出荷前の検査を行う形となります。
GeO₂の開発背景と可能性
PATENTIXが進めるGeO₂の開発は、従来の技術と比較して約10倍の性能向上が期待されています。しかし、GeO₂はルチル型結晶を製造することが難しいという課題がありました。そこでPATENTIXは、自社独自のPhantomSVD®法を使い、世界で初めてGeO₂のルチル型単結晶膜を成功裏に製造しました。この技術革新は、今後の半導体産業において重要な役割を果たすことでしょう。
本年度10月からは、共同開発先との契約によりGeO₂ウエハの有償サンプル出荷が始まります。これにより、次世代の高性能Normally-off型MOSFETなどへの応用が進むことが期待されています。
さらなる展望
両社は今後もGeO₂に関する研究開発を進め、製造から販売までの一貫したプロセスを確立していきます。そして、琵琶湖エリアの半導体産業の推進に寄与するため、関連企業群を形成していく計画です。これにより、日本発のパワー半導体産業の実現にも貢献していくとしています。
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クオルテックの役割
クオルテックは、PATENTIXへの5,000万円の出資を行い、GeO₂半導体に関する共同研究開発や評価試験、製造などを支援します。特に、電子部品の不良解析や信頼性試験を中心とした事業を展開するクオルテックの技術力が、PATENTIXの発展に寄与するでしょう。
PATENTIXの成果
一方、PATENTIXは新規機能性材料の研究を進め、持続可能な社会の実現を目指しています。2023年9月には、欧州最大の材料学会「E-MRS」においてもその技術的成果を発表し、大きな注目を集めました。
おわりに
今回の合意により、GeO₂の研究開発は新たな段階に入り、今後の展開が非常に楽しみです。次世代半導体としての可能性を秘めたGeO₂は、未来の技術革新を支える重要な素材となるでしょう。