子どもの驚く力
2025-10-01 12:02:20

脳波研究が明らかにする子どもの驚く力とは?

発達障害研究と子どもの驚く力



愛知県春日井市にある愛知県医療療育総合センター発達障害研究所の研究チームが、子どもの「驚き」に関する興味深い研究を発表しました。この研究は、子どもがどのように周囲の変化に気づくかを脳波を用いて評価する方法を開発することを目的としていました。特に、株式会社パイロットコーポレーションの「メルちゃん」を使用して、髪色の変化に対する脳波の反応を分析しました。

この研究に参加したのは、合計37人の健常な子どもたちで、年齢は6歳から10歳の間。研究では、メルちゃんのお人形が髪色を変化させる場面を観察し、子どもたちがその変化に対してどう反応するのかを見極めました。具体的には、子どもたちには変化が現れたらボタンを押すよう指示を与え、脳波を記録する装置を使って「変化に気づく」までの反応時間を測定しました。

研究の背景


人間は周囲の環境に変化が生じた際、それに気づく能力が求められます。この「変化に気づく」ことは、生存にとって非常に重要なスキルであり、通常は成長過程で自然に発達します。しかし、これまでこの能力については主観的な観察や評価が難しく、具体的にどのように発達するのかを明確に理解することができませんでした。本研究では、具体的な玩具—メルちゃん—を用いて、この能力の発達状況を科学的に評価しようとしたのです。

驚きの反応の観察


研究の結果、メルちゃんのお人形の髪の色が変わった際、子どもたちがその変化に気づく様子はP130と呼ばれる特定の脳波として記録されました。この脳波は、変化があった瞬間から100~200ミリ秒後に現れ、髪の色が茶色からピンクに変わった時よりも、ローズから黄色に変わった時の方がより早く、かつ大きな反応を示しました。これは、色の変化に対して脳がより強い驚きの反応を示していることを意味します。

年齢による変化への気づき


さらに、研究グループは、子どもたちの年齢が上がるにつれて、変化に気づくまでの反応時間が短くなる傾向があることを発見しました。特に、生後92ヶ月の間に急速に「変化に気づく」能力が発達し、その後はほぼ一定になるという結果が得られました。つまり、この能力は早期の発達が見られる一方、個々の子どもによって差が生じることがあるということです。

研究の意義と未来の展望


本研究は、子どもの発達を評価するための新しい方法を提供しました。脳波を用いることで、個々の子どもの成長過程をより客観的に評価することが可能です。さらに、驚きを伴う玩具の設計にも貢献できると考えられています。将来的には、低年齢層の子どもたちを対象にした研究や、同じお子さんの成長を複数回にわたって追跡調査することにより、さらなる理解が得られることを期待しています。

この研究成果は、玩具開発における質の向上や、子どもの健全な発達を促すための新たな指針になると考えられます。子どもたちが遊びを通じて驚きを感じることで、その成長にどう寄与するのか、引き続き研究が進められることに注目です。

参考文献と論文情報


  • - 説明:この研究結果は「BMC Neuroscience」誌に掲載予定で、脳波研究の最新情報として注目を集めています。
  • - 論文名:Visual change-related brain potentials elicited by changes in doll hair color in school-aged children
  • - 発表予定日:2025年8月11日
  • - DOI:10.1186/s12868-025-00970-8

このように、子どもの発達や驚きの捉え方についての新たな知見が我々の理解を深めています。これからの子どもたちを支えるための新たなアプローチが求められています。


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会社情報

会社名
東海光学株式会社
住所
愛知県岡崎市恵田町下田5番地26
電話番号

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