伊勢崎銘仙の復活展『いせさきメイセン ―メイセンは二度死ぬ―』
2020年2月26日(水)から3月23日(月)にかけて、松屋銀座7階のデザインギャラリー1953にて行われる「いせさきメイセン ―メイセンは二度死ぬ―」展。これは、伊勢崎銘仙の復元に挑む「21世紀銘仙プロジェクト」によって生み出された作品を中心に、特に「併用絣」の技術を再評価する内容となっています。この展覧会は、失われた日本の伝統工芸技術を復活させる試みの一環であり、多くの魅力を持つ作品が展示されます。
銘仙と「併用絣」の背景
銘仙は江戸時代に起源を持ち、明治から戦前にかけて、特に北関東地域で盛んに作られていました。当時、安価でありながらファッション性に優れることから、女性の日常着として非常に人気がありました。著名な画家竹久夢二や伊東深水の作品にも描かれるなど、文化的にも重要な存在でした。特に伊勢崎は、捺染技術を駆使した独自の「解し絣」や「併用絣」という技法を発展させ、その多様な技術が注目されました。
「併用絣」とは、経糸と緯糸の両方で絣を施す技法で、その独自の色使いやデザインによって、一時は大人気を誇っていました。しかし、20世紀に入ると日本の洋装化が進むにつれ、この技術は姿を消し、特に1980年代初頭には完全に途絶えてしまいました。
21世紀銘仙プロジェクトの立ち上げ
そんな中、2013年に伊勢崎市に住む杉原みち子さんと金井珠代さんが「併用絣」の復元プロジェクトを始めることを決意しました。周囲から「復元は不可能」との声が上がる中、テキスタイルデザイナー・須藤玲子氏がプロジェクトに参加し、復元用のデザインを提供しました。また、材料や資金調達のための寄付を受けるなど、多くの人々の協力を得て、このプロジェクトは現実のものとなりました。
2016年には、遂に21世紀の「いせさきメイセン」が完成。14の職人手作業が見事に連携し、複雑な技術を持つ作品が誕生しました。この展覧会では、こうして復元された「いせさきメイセン」とともに、関連するデザイン画や型紙、さらに過去の銘仙コレクションが一堂に展示されます。
V&Aへの収蔵と苦境
2015年には、英国のヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)の学芸員アナ・ジャクソン氏が伊勢崎を訪れ、制作過程を観察。彼女はこの技術を評価し、V&Aに収蔵することを決定しました。しかし、その矢先に制作に必要な道具が失われるという不幸も起こり、併用絣は再び危機を迎えました。この展覧会を通じて、多くの人々に「いせさきメイセン」を知ってもらい、その技術や情熱を伝えることが重要であると考えられています。
展覧会の詳細
現在の「いせさきメイセン」を直接体感できる貴重な機会です。松屋銀座でのこの展示は、伝統的な日本の美と技術に新たな光を当てるもので、多くの方々にご覧いただきたい内容となっています。さらに、関連イベントとしてデザインサロントークやポッドキャストでのインタビューも企画されています。
【開催概要】
- - タイトル: 第764回デザインギャラリー1953企画展「いせさきメイセンー二度死ぬー」
- - 会期: 2020年2月26日(水)〜3月23日(月)
- - 会場: 松屋銀座7階デザインギャラリー1953
- - 入場料: 無料
この展覧会を通じて、訪れる人々が伊勢崎銘仙の魅力を再確認し、その素晴らしさを改めて感じることができるでしょう。