CLO選任に関する調査結果、特定荷主の認知不足が浮き彫りに
日本最大級の物流コンサルティングファーム、船井総研ロジ株式会社が実施した最新の調査から、特定荷主企業におけるCLO(物流統括管理者)の選任状況に関する興味深い結果が明らかになりました。この調査は、2025年8月から9月にかけて、アレス・マネジメント・コーポレーション傘下の日本GLP株式会社と共同で開催されたCLOセミナーの参加者を対象に行われました。
調査の背景と目的
2024年5月に改正された物流効率化法により、特定荷主と呼ばれる年間取扱量が9万トン以上の企業は、2026年4月1日からCLOの設置が義務化されます。本調査では、特定荷主及び非特定荷主におけるCLO選任の状況を明らかにし、CLOの役割や導入の意義についても考察します。
特定荷主のCLO選任状況
調査によると、特定荷主の42%が「CLOを任命されることはない」と回答しており、これは業界全体の理解不足を示しています。この事実は、特定荷主としての認識が乏しいことを物語っており、CLO選任に対する興味や理解の遅れが浮き彫りになりました。実際、「すでにCLOを任命している」という回答はわずか15%にとどまりました。
一方で、28%は「今後任命される可能性がある」と答えており、選任を検討している様子も見受けられます。このように、特定荷主の業界では、CLO導入に向けた動きが新たに見えてきています。
非特定荷主の興味関心
興味深いことに、法的な選任義務のない非特定荷主の中でも、「今後CLOを任命する可能性がある」との回答が5%存在していました。このことは、CLOに対する関心が高まっていることを意味し、情報を収集している企業も多かったことが調査結果から伺えます。
CLOの選任と企業価値の向上
CLO選任の義務化は法令対応の面でも重要ですが、企業にとっては単なる法対応にとどまらず、その活用方法が企業のバリューアップにつながる重要な要素となります。そのためには、CLOの役割や機能を明確にし、社内での位置付けを確立する必要があります。具体的には、CLOの活動計画や導入事例を発信し、CLOの存在を広く認知してもらうことが求められています。特定荷主、非特定荷主を問わず、CLOの役割は今後ますます重要になるでしょう。
調査概要
このリポートは、2025年8月から9月にかけて行われたCLOセミナーの参加者の中から、運輸・物流業種を除く118社を対象に調査が実施されました。全体の数は162名でしたが、厳密に調査分析を行うために対象を絞りました。特定荷主に関するCLOの役割や導入状況に関心がある企業が多数存在することが今回の調査で明らかになり、CLOの重要性が再認識されています。
今後、これらの結果を踏まえ、企業としての対応を強化することが求められるでしょう。CLOがもたらす可能性と、それに続く企業の成長は我々の業界における重要なテーマです。