業務提携に向けた背景
株式会社グラファー(東京・渋谷)と株式会社ROUTE06(東京・千代田区)が業務提携を結び、AIを前提とした新たな開発プロセスの整備に乗り出しました。これにより、企業の要件定義から設計・実装・リリースまでの一連の流れが強化され、デジタル変革が実現されることを目指しています。
生成AIの活用はまだ道半ば
最近の調査によれば、生成AIを業務で活用している企業は16.2%にとどまり、全体的な普及は進んでいないことが示されています。また、必要スキルの不足や進め方が不明確であることがボトルネックとされ、多くの企業でAIの活用が部分的に留まる傾向にあります。特に、要件定義は長年の課題であり、業務の属人性が高く、設計品質がばらつくことが指摘されています。
ROUTE06の調査では、要件定義業務に就く部長職の多くが、担当者のスキルに依存している点を課題と認識しており、手戻りが発生するプロジェクトも多いとのことです。このような背景から、両社は企業からの要望に応じて、AIを活用した包括的な支援体制を構築することになりました。
業務提携の詳細
この提携では、以下の3つの施策が主な内容となります。
1.
Acsimの導入支援
ROUTE06が提供するAI要件定義プラットフォーム「Acsim」の導入を支援し、業務の可視化や課題の抽出、改善の方向性を整理します。
2.
要件定義研修
グラファーが「Acsim」を使った要件定義の研修を実施し、メンバーが自ら使いこなせる状態を作ります。
3.
AI駆動開発プログラム
グラファーのAI駆動開発プログラムを通じて、設計・実装・レビューの各工程でAIを活用する支援を提供します。
期待される効果
この提携により、要件定義からリリースまでのリードタイムを最大50%短縮できることが期待されています。また、誰もが一定水準で要件定義できる環境が整うため、成果物の品質向上も見込まれています。このように、企業全体でAIを活用した新しい開発プロセスを定着させることで、デジタル変革を進める意向です。
両社のコメント
グラファー代表の石井大地氏は、「新たなプロセスの実現を支援できる」と述べ、ROUTE06の松本均氏は「新しい開発モデルを広げ、日本のソフトウェア開発の生産性向上に寄与したい」と抱負を述べています。
まとめ
この業務提携により、株式会社グラファーとROUTE06は、生成AIを活用した開発プロセスを革新し、企業の成長を支援します。これにより、AIが企業の要件定義から設計、実装までの各段階で支援される未来が実現に近づくと期待されています。